福田 進治 さん

略歴

1987年 滋賀県立北大津高等学校普通科卒業
1991年 外国語学部言語学科ロシア語専修卒業
1998年 立命館大学大学院経済学研究科経済学専攻満期退学
現在 弘前大学人文学部経済経営課程准教授 (2009年1月現在)
みなさん、こんにちは。
学部創設40周年ということですが、私がロシア語専修を卒業してからも、早くも18年が過ぎようとしています。私は現在、青森県の弘前大学で経済学の先生をしています。ロシア語とは何の関係もない仕事なので、こういうところに登場すると、何とも微妙な心境になります。

学生生活

私はもともとロシアの文化と音楽に関心があって、大学ではロシア語の勉強を選びました。しかし、同時にグリークラブに入団したことが間違いの始まりでした。当時のグリーは学生日本一の合唱団で、コンクール、演奏会、合宿、遠征など、厳しくて忙しくて大変でした。お陰でとても充実した学生生活になりましたが、申し訳ないことに、次第にロシア語の勉強から落ちこぼれていきました。先生方にはいろいろご迷惑をお掛けしました。試験前など、落ちこぼれの友人同士で集まって、あまり役に立たない試験対策を練ったりしたことが懐かしい思い出です。それでも、曲がりなりにも、高校までとはまったく違う本物の語学の基礎に触れたことと、世界各地域の政治経済について学ぶ機会を持てたことは、後年の勉強のためになったのではないかと思っています。

卒業後

あまりにも勉強をしなかったためか、卒業が近づくにつれて、社会に出る前に一度くらい本気で勉強して、世の中のことをもう少しくらい理解できるようになりたいと思うようになりました。ベルリンの壁が倒れた頃です。卒業後、北大路書房という出版社でアルバイトをして学費を稼ぎながら、英語とロシア語(当時は大学院の入試のために2カ国語を習得しておく必要がありました)と経済学の勉強を始めました。その後、これまた申し訳ないことに、同じ京都市内のライバル大学の大学院に進学しました。大学院生活は経済的にも学問的にも大変でしたが、学生時代に培った神山スピリットのお陰でしょうか、一所懸命に勉強し、博士論文も書き上げました。弘前大学に就職できたことは、本当にラッキーでした。大学教員の公募は基本的に全国区で、しかも私の場合、流行の分野ではないので、教員ポストは少なく、競争はかなり激しかったのです。

現況

取りあえず元気に、大学の先生らしく真面目に暮らしています。専門は「経済学史」と言いまして、要するに経済学の歴史です。19世紀イギリスのリカードという人の経済学を中心に研究しています。今日の派遣労働の問題や金融危機の問題などを見ると、マルクスやケインズといった経済学者たちの遺産は、いまだにとても重要だなと強く感じたりしています。学生たちには、自分の学生時代のことは棚に上げて、いつも「勉強しろ」と言っています。不況や少子化などの影響で、私立大学と同様、地方国立大学をめぐる状況も年々厳しくなってきています。自由に好きな研究ができるような状況とは程遠いですが、今までにお世話になった方々と、自分自身の運の良さに感謝しつつ、少しずつでも世の中の役に立てる仕事をしていきたいと思っています。

現役生のみなさんへ

落ちこぼれだった私がいろいろ書くと、現役のロシア語専修のみなさんに悪影響を及ぼすことにならないかと心配しています。言い訳のようになりますが、人生は必ずしも計画通りにはいきません。計画を立てることも大切ですが、それ以上に、その時その時、悔いが残らないように、目の前の仕事や勉強に一所懸命に取り組むことが大切なのではないかと思っています。縁あってロシア語専修に入学されたみなさんは、取りあえず、ロシア語の勉強に一所懸命に取り組んで下さい。しかし、ロシア語だけが人生ではない(松川先生によく言われました)。学生時代に、何か一つだけでも良いので、これだけは頑張ったと言えるものを残して下さい。そうした一見無駄な経験の積み重ねが、その後の人生のための糧になるのです(落ちこぼれの人向けのアドバイスかも・・・)。

最後に

私は京都に生まれ、京都の大学を卒業し、京都の大学院で学びました。賑やかな京都の街が当たり前の日本の街だと思ってきましたが、青森県に来て初めて、それが当たり前でないことを身をもって知りました。寒くて雪が多いだけでなく、県民所得、求人倍率、平均余命、自殺率など、さまざまな指標でつねに全国ワーストを争う位置にいる青森県は、課題の多い本当に大変な地域です。いつまでこちらで暮らすことになるのか分かりませんが、とても貴重な経験・勉強をさせて頂いていると思っています。同時に、白神山地、十和田湖、竜飛崎などの大自然に囲まれ、陸羯南、太宰治、棟方志功など、第一級の文化人を輩出した素晴らしい土地柄でもあります。みなさんも機会がありましたら、是非一度、青森県にお出で下さい。大歓迎します。
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