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西川 直広 さん
略歴
1995年 外国語学部言語学科ロシア語専修卒業
1996年3月−1997年夏 カザフスタン・アルマティ滞在
(カザフスタン国立外国語大学で日本語講師)
1997年夏−2001年夏 ウズベキスタン・タシケント滞在
(タシケント国立大学史学部卒業)
2002年 ラヂオプレス入社
(2009年2月現在)
近況について
本学を卒業後、1年近いフリーター生活をへて、中央アジアに移って5年半を過ごし、帰国後いまの会社に就職しました。現在は報道機関の一員として、ロシアを中心とした旧ソ連地域の内外動向の把握等の業務にたずさわっております。
中央アジアとの出会い
私は本学部を修了後、語学力をさらに磨こうと留学資金捻出のためフリーターになりましたが、思うように資金が貯まらず、「現地で働きながら、言葉を実地習得できればいいや」という考えに至り、一か八かで、紹介があったカザフに出向きました。正直、ロシアとウクライナぐらいしか知識がなかった私にとり中央アジアは未知の世界でしたが、「住めば都」で適応し、カザフの大学で3セメスターの期間(1年半)日本語を教えたのち、隣国ウズベクに移り、学生に転向。現地の歴史、特に民族史を勉強しました。
情報受信の重要性
1999年2月、タシケントで連続爆破テロが起きたとき、現地は当局の情報統制下に置かれました。そうした中で市民が頼りにしたのが、当時FMでの放送を認可されていた英BBCなど西側ラジオ局の報道でした。私にとっても情報享受の価値を知る契機となりました。他方、受信の権利が保障された日本に戻ってからは、情報を多面的に収集し、整理する力が問われることを実感します。いま本学部で学ぶ皆さんには、ネットや新聞を活用して外国メディアの報道にも積極的に触れて、情報選択力を養われることを提言します。
在学生へのメッセージ
私の体験はかなり冒険的なところがあるので参考になるか判断しかねますが、在学生の皆さんに心構えとして伝えたい(また、自分の反省・戒めにもしたい)のは次の2点です。
1.違いを知り、受容する
外の世界(国だけに限らず、対人関係などでも)に触れて、異なる考え・文化と交わってください。私は本学在学時に日本各地や韓国・台湾への自転車放浪、シベリア夏期ホームステイなどをして多くの刺激を得、さらに中央アジアでイスラム教圏の暮らしを垣間見たり、多民族の現地人クラスで学んだことで違いを認めることの大切さを実感しました。一方で、海外生活では自らが日本という国の代表であることを否応無く自覚させられるので、日本事情についても知識を深めておくことをお勧めします。
2.柔軟な舵取りで行路開拓を
深い霧の中に陥ったときは視界が晴れるのを待つことも肝要と思います。私はタシケントでの大学3、4年時に五里霧中に陥りましたが、児童施設出で頼る先のない私に留学費を出してくれた方などの支えの中で目的を再考し、卒業に至りました。幸運にもこのユーラシアへの回り道が時流に合い、2001年秋の就職試験ではアフガニスタンの隣国にいた点でアピールできるものがあったと思います。在学生の皆さんが固い信念と柔軟な判断力で次につながるきっかけをつかみ、新たな局面を切り開かれることを望みます。
ロシア語は本国だけに限定されず、言葉を手段に旧ソ連地域の政治・経済・社会文化などに学習対象の幅を広げることができます。ソ連崩壊に伴う独立から17年余りが経ってロシア離れが進んだとはいえ、今もロシア語圏はユーラシアの広い地域をカバーしています。私の場合、中央アジアとの遭遇を経て、イラン、アフガン、トルコ、中国といった近隣諸国にさらに関心の枠が広がりました。
ぜひ、大学都市・京都の総合大学という本学部の利点を生かして、他学部・他大学・他国の人との交流を深め、様々なことにチャレンジし、世界観を広げてください。