小西 咲子 さん

略歴

1986年3月 京都市立銅駝美術工芸高等学校西洋画科卒業
1990年3月 京都産業大学外国語学部言語学科スペイン語専修卒業
1990年10月~1992年6月
バルセロナ大学地理歴史学部美術史科にて聴講留学(スペイン外務省給付奨学生)
1993年1月 フリーランス通訳業開業、各種の語学スクールでスペイン語講師
2004年4月 大阪外国語大学大学院言語社会研究科博士前期課程国際コース入学
2006年3月 同 修了
2007年12月 スペイン語通訳者
本学非常勤講師
コングレインスティテュート大阪校スペイン語通訳コース講師
通訳案内士(国土交通大臣認定 スペイン語・イタリア語)

スペイン語との出会い

美術高校時代にスペイン美術に関心を持つようになりました。「きっといつかスペインに行くんだ!」という強い願いを実現するには私にとってまず何がベストか、いろいろ考えた結果、「よーし、大学でスペイン語を勉強しよう」という結論にたどり着きました。

よく学び、よく遊んだ学生時代

2006年プラド美術館展(大阪)にて、
学芸員たちと
スペイン語専修コースのクラスメートは1学年全員で20人、会話のクラスに至ってはさらに二分されるという、語学を修めるのにこんな素晴らしい環境が他に考えられるでしょうか? 先生方やクラスメートだけでなく、先輩や後輩の顔までがとてもよく見えるコースでした。

3年生の夏休みに短期留学と旅行を兼ねてついにスペインを訪問しました。この夏に、高校時代の選択は間違っていなかったという確信を持ち、「またスペインへ、こんどこそ美術史の勉強を!」と固く決心したのでした。

こうして、好きなだけスペイン語を(副産物としてイタリア語も)勉強し、映画もたくさん見たり、アルバイトもしたり、ブッちぎりの学生時代を過ごしました(卒業後の留学に関するエピソードは、本当にキリがないので割愛)。

いまでも生活から切り離せないスペイン語を学んだ場所、そしていまでも親しくおつきあいしてもらえる友人や先生方に出会えた場所、それが京都産業大学でした。私は社会人になってから大学院で再び(ただし今回は兼業の)学生生活に入りましたが、「出身校は?」と尋ねられれば間違いなく「京都産業大学です」と答えます。そして巡りめぐって、いま母校の教壇に立ってスペイン語を教えることになりました。感無量です。

「自分のため」の語学から「人のため」の語学へ

今から思えば留学よりも社会勉強に費やされたスペイン滞在中、現地の日系商社で通訳のアルバイトをすることになりました。これが職業通訳者への第一歩でした。そして、帰国後しばらくは「逆カルチャーショック」のようにブラブラしていた時期もありましたが、またまた先生のお世話などを受けながら、通訳者や語学教師、そして外国人観光客のガイドなどスペイン語を活かせる仕事にどんどん挑戦して、少しずつ経済的に自立してゆくことができるようになりました。

単発のアルバイトではなく、職業として継続的に仕事を得るためには、顧客や生徒だけでなく同僚といった他者から評価されることが必要です。そのためには、語学に対する執着心と向上心が不可欠です。また語学以外の知識を獲得し随時アップデートさせる好奇心、ここ一番の集中力、持久力、瞬発力、自分のミスを認める謙虚さと再起するための根性も必要です。そして、通訳(私の場合、会議通訳よりも顧客と至近距離で接する遂次通訳がほとんどです)にせよ授業にせよ、かならず相手となる人がいます。どんなキャラクターの相手も受容し、自分自身のいわば可塑性を高めることも重要です。

英語や中国語のようにマーケットの規模が大きくないスペイン語業界に現在まで身を置くことができたのは、上記の必要条件をどうやら及第点でクリアできてきたこと、人間関係に恵まれたこと、そして何よりも、偶然とはいえ好きな仕事に出会えた、だからでしょう。

大学、語学そして人生の定説(独断)

最後に、京都産業大学時代から今日まで得た多くの学びを、独断で以下の定説4点にまとめてみました。ご異論もあるかも知れませんが、ご参考になれば幸いです。
  1. [何かに取り組む]語学に限らず、自分から取り組んだことは決して無駄にならない。もしいま無駄になっていると思うなら、それは結果に気付いていないか、まだその時期が来ていないか、本当は真面目に取り組んでいなかったかである。
  2. [語学は文法に始まる]語学を活かした仕事に就きたいなら、文法の基礎固めを怠らないこと。中途半端な文法知識を矯正するにはゼロから学ぶ以上のエネルギーが要る。それに、「通じる、伝わる語学」は当たり前、「正しく使える語学」でなければ顧客からのリスペクトは得られない。そして、高校卒業時点の英語力の維持と向上に努力を惜しまないこと(私は大いに後悔している)。
  3. [家族との絆]留学生活が楽しいのは、帰る場所がある=待っている家族がいるからである。また、親にとって、学費の元が取れるかどうかはともかく、子が学業を仕事につなげてくれることは大きな喜びである(きっと)。
  4. [感謝の気持ち]自分ひとりの努力でできたことは何一つない(足場は自分で固めたがジャンプには誰かの助けがあった、もしくは誰かが固めてくれた足場で自分の力でジャンプしたか、どちらか)。 
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