ブレッツ 浩子(旧姓 新井)さん

略歴

1991年 奈良県天理高校
1995年 英米語学科卒業
トムソンコーポレーション(ソフトウェア・エンジニア) 
(2007年10月現在)
在学生のみなさん、こんにちは。私は1995年に外国語学部英米語学科を卒業したブレッツ(旧姓 新井)浩子です。卒業後、3年半のOL生活で資金を貯めて渡米し、ホームステイをしながら、ミネソタ州セントポールにあるメトロポリタン州立大学(http://www.metrostate.edu/)でコンピューターサイエンスを専攻し、現在はトムソンコーポレーションという会社(http://thomson.com/)でソフトウェア・エンジニアとして働いています。この会社は法律に関する書籍の出版に携わっているのですが、現在では60%以上の商品がオンライン化されています。

私の所属する研究開発部では、自然言語に関するさまざまな研究が進められていいます。これは人間の言葉をコンピューターに理解させるという研究です。例えば、文章をコンピューターに要約させる研究や、新聞記事などから人名、会社名、組織名などを摘出し、それぞれをデータベースのレコードと一致させるソフトの研究などが行われています。これはどれも人間がすると比較的簡単な作業なのですが、機械にさせようと思うとなかなか容易なことではありません。でも大量の情報を短時間で処理するには、オートメーションは不可欠です。現在私は、アメリカの司法関連のサーチエンジンの開発プロジェクトに参加しており、アメリカをはじめ、ヨーロッパ、南米、アジア、中東など、世界各国からの言語学研究者たちと、検索結果の質を高める研究をしています。この仕事で、普段何気なく使っているサーチエンジンの裏には大勢の人の努力があるのだということを学びました。また検索に対する結果がどのようにして打ち出されるのかというのを学ぶことも、とても興味深いものです。

アメリカに住んで9年になり、こちらでの生活にもだいぶ慣れました。京都産業大学で学んだ知識は、仕事場でも日常生活においても、毎日応用しています。同僚たちとのコミュニケーションや研究結果のレポート、デザイン提案などの文書作成もすべて英語なので、大学時代に英語の基盤をしっかり身につけておいてよかったと思います。会議などで気後れせずに発言できるのも、この基盤に支えられてのことだと思います。

大学時代の私は優秀とは程遠い存在でした。貧乏学生で、アルバイトと育英会の奨学金で学費と生活費をまかなっていたので、朝は新聞配達、夕方は、そば屋のウェイトレス、MKでタクシーの電話受注など複数のアルバイトかけもちと、てんてこ舞いの毎日で、授業の予習や復習にも思うように時間が取れなかったのがしばしばでした。それでも親切に根気よく指導してくださった先生方には今でもとっても感謝しています。サークルやコンパなどにもあこがれはしたんですが、はかなくも夢のまた夢でした。それでも暇とお金を見つけては、アメリカやヨーロッパなどに貧乏旅行に出かけました。今思うとあっという間に過ぎてしまった4年間ですが、いい思い出がぎっしり詰まっています。若気の至りで、当たって砕けて、痛い目にあった苦い経験もたくさんありますが、今となってはそれもいい勉強でした。とにかく若いうちにしかできない経験がたくさんできた、いい4年間だったと思います。

私は在学生の皆さんのお役に立つようなアドバイスができる自信はありませんが、大学時代を振り返ってみて、自分なりにやってよかったと思うことを一つ述べておきます。

前にも述べたように、私は大学時代、決して優秀な生徒ではありませんでしたが、10年後の自分が何をしていたいか、そこへはどうすれば辿り着けるか、と言うことを常にあれこれといろんな角度から考えていました。大学4年間はそのことについてじっくり考えるいい時間だったと思います。私は中学の頃から英語が大好きで、将来は英語を活かせる仕事がしたいと漠然と思っていましたが、それが実際どんな仕事なのか、なかなかはっきりわかりませんでした。しかも英語圏で働きたいという願望があったので、英語が話せるというのは最低条件であって、武器にはなりません。英語を使って自分は何ができるのか、という問に対して、ソフトウェアエンジニアという答えに辿り着くまでに、さまざまな試行錯誤と失敗を繰り返しました。

自分に合った仕事を見つけるためには、まず自分には何が合っているのかということを理解しなければなりません。これは簡単なようで、結構難しいことだと思います。やりがいのある仕事が自ら歩いてやって来てくれるということは稀です。だから自分から歩いていかなければなりません。時間はかかるかも知れませんが、諦めずに探索を続ければ、きっとそれが見えてくると思います。

在学生の皆さんにとっても、いろいろな経験を通して、情熱を持って打ち込める仕事が見つけられることをお祈りしています。
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