渉里 幸樹 さん

略歴

1985年 京都女子高等学校卒業
1989年 京都産業大学 外国語学部英米語学科卒業
2018年1月現在 フリーランス翻訳家

京都産業大学外国語学部創設50周年に寄せて

中学、高校時代は英語が得意だったので、将来は英語を使った仕事をしたいと思っていました。そして、英文学ではなく、語学として英語を勉強したかったので、外国語学部のある本校を選びました。また、本校は外国語に特化した単科大学ではなく、様々な学部のある総合大学であることも決め手となりました。実際に、他学部の学生との交流は楽しく、刺激があり、学ぶことも多かったので総合大学を選び良かったと思っています。

就職活動では英語を生かせる仕事を探し、当時人気があった流通大手のセゾングループに職種を選んで入社できるという制度(オーダーエントリー)で入社しました。そこで、国際業務を選択しました。配属先はセゾングループの1つである(株)西武百貨店でした。関西の店舗に数年勤務した後、本社の営業企画部に移動になりました。入社後は、諸事情により仕事で英語を使うことはありませんでした。
その後、営業企画(マーケティング)の経験を活かし、スターバックス コーヒージャパン (株)のマーケティング部に転職しました。スターバックス コーヒージャパン(株)の面接時に、英語は必須と言われ、この時に英語ができて良かったと思いました。しかし、英米語学科卒業といえども、日々英語を磨いていないと、使いこなすことはできず、海外との英語でのメールのやりとりや英語での会議、また、外人の上司とのコミュニケーションにかなり苦戦をしました。大学時代にもっとスピーキングの勉強をしておけば良かった、社会人になっても継続して英語のスキルを磨き続けていれば良かったと後悔しました。
スターバックス コーヒージャパン(株)は主人の転勤に伴い残念ながら退職しました。その後は、出産も重なり、専業主婦をしていたのですが、その間に、子育てをしながらできる仕事ということで翻訳家を目指しました。この時にも英語のスキルがあり本当に良かったと思いました。ただ、英語ができても専門分野がないと翻訳の仕事はできないので通信教育で、興味があった医薬翻訳の勉強をしました。また、ボランティアの翻訳も引き受けながら、短期間、京都にある小さな翻訳会社にも勤め、数年の下積み期間を経て現在はフリーの翻訳家として、翻訳会社に登録し、医薬やマーケティング分野の実務翻訳をしています。全く専門知識がない中で始めた医薬翻訳ですが、仕事をすればするほど知識が蓄積していき、年齢に関わらず仕事ができること、また人の役に立てる仕事ということにやりがいを感じています。
翻訳会社が米国の会社であることから、日々メールで海外から仕事を受注しています。将来英語を使った仕事をしたいという夢を遠回りはしましたが、実現しているなあと今更ながらに気付きました。英語を使った仕事=海外に行く、外人と話すではないとも思いました。
翻訳の仕事と言えば、書籍の翻訳と思われがちですが、こちらの門戸は非常に狭く、翻訳者のほとんどは実務翻訳をしています。分野は主に、医薬、法律、特許、ITなどです。フリーの翻訳の仕事は、自分で自由な時間が作れ、どこででもパソコン1台で仕事ができるというメリットはありますが、今後AIに取って変わられるというリスクも非常に高いということも事実です。
翻訳の仕事についてのメリット、デメリットについは簡単には語りつくせないのですが以上です。

後輩の皆さんへ

今は、英語を専攻していなくても、英語のできる人は多くおられます。英語のスキルを高める以外にも何かプラスアルファの力をつけることが大事だと思います。プラスアルファの何かは、なかなか見つからないかもしれません。しかし、自分の中で制限を設けずに、何にでもトライしてみてください。そうする中で見つかることもあるかと思います。
私は大学時代に留学はできませんでしたが、3年生の夏休みに、BBC放送主催のイングリッシュサマースクールに参加し、約3週間ロンドン大学の寮で生活しました。日本人がほとんど参加していなかったので、英語漬けの生活を送りました。そのおかげで英語を話すことが苦手でなくなり、私は英語が話せるのだという自信がつきました。この経験から、できれば大学時代に留学でなくても、数ヵ月でも数週間でも海外で過ごす機会を持つことをお勧めします。

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