山川 詩保子 さん

略歴

1993年滋賀県立水口東高校 卒業
1998年外国語学部言語学科ロシア語専修 卒業
2002年6月ロシア舞台芸術アカデミー 修士課程終了
2006年3月ロシア舞台芸術アカデミー 博士課程終了 芸術学博士号取得
2006年3月よりJIC旅行センター モスクワ事務所所長としてモスクワに赴任
(2007年9月現在)
皆さん、こんにちは。

現在ロシア連邦首都モスクワにて旅行会社の駐在員として勤務いたしております。 2006年の春に日本で言う博士号をロシアで取得後、現在の会社に就職いたしました。私の赴任と同時に現地事務所を立ち上げという、すべてが手探りの中で過ぎた1年半でした。現地ではロシアや旧ソ連諸国を旅行される方の緊急時の対応や、現地駐在員のご出張、ご旅行時の手配、また、留学生のアドバイス等広い分野にわたっての業務をこなしております。

この他、今年は、大学院時代から暖めていたモスクワ音楽劇場バレエ団の来日公演のプロジェクトが年末に実現することになり、その準備やプロモーションで頻繁に日本を行き来し、忙しくも充実した日々を送っております。

ロシアでは公用語はロシア語、日常生活ではロシア語以外の言語を話す機会はほとんどありません。また、文法的にも非常に複雑な特徴を持つ言語ですので、大学生活で学ぶロシア語の基礎が非常に重要になってきます。逆に言えば、基礎段階できっちりと文法のルールを押さえておけば、研究段階での難しい文章も比較的楽に読める言語でもあると思います。外国語学部では主に話すことに重点を置くと思われがちですが、外国語学部でしっかり基礎を教え込まれることによって、文章を読む力も向上し、正しい言葉で話すこともできるようになります。
はじめに言葉ありき、といいますか、外国で仕事をするということは、契約書や文書を原語で読み、その言葉を使って交渉するということが必要になります。日常生活から、仕事を含め、外国語学部の4年間なしでは、やはり今の自分はなかったと思います。

大学時代は鈴鹿に近い滋賀からの通学に往復3~4時間かけて通っていました。正直ロシア語に目覚めたのは、2回生の夏休みで初めてロシアに旅行をしてからでした。1回生の頃は授業数も多く、1限からの授業に早起きして学校へ行くことも、授業に必死でついていくことも、非常に辛かったのを覚えています。クラスでは人数も少なく、先生方とも生徒同士ともとても仲が良くさせていただきました。特に、ロシア語はタテのつながりが強いのも特徴だと思います。ロシアに行ったことのある先輩方から非常に興味深いお話をたくさん聞けたことも、ロシア語習得に意欲がわいた原因のひとつだと思います。サークルにも所属しましたが、放課後のほとんどの時間は留学費用をためるためのアルバイトに明け暮れていました。

私は幼少からバレエを習っていました。ロシア語に入学したのは偶然ですが、このことが私とバレエとを一層深く結びつけることになりました。在学中の10ヶ月留学中に、バレエの本場の国ロシアでたくさんの舞台を見て、また、ロシアでは大学で舞踊学が学問として教えられているということに驚きました。迷わずロシア舞台芸術アカデミーの担当教授に面会に行き、入学を許可してもらいました。
入学後は演劇史、批評等広い分野で講義がありましたが、最終的には舞踊史を専攻し、演劇界の巨匠スタニスラフスキーと劇作家のネミロヴィチ=ダンチェンコの名を受けた、歴史あるモスクワ音楽劇場で約40年にわたり芸術監督を務めていたブルメイステル氏の作品をテーマに論文を書きました。その時のご縁が年末の東京国際フォーラムでの来日公演につながっている、私にとってはかけがえのない研究です。

在学中は毎日が平凡で退屈に思われるかもしれない4年間ですが、過ぎてしまえばとても貴重な時間だったと思います。勉強も遊びも恋もアルバイトも精一杯やっていればきっとその中で何か自分が一生大事にできるものが見つかるのではないでしょうか。それは今すぐに就職や自分の将来に結びつくものではないかもしれません。ただ、少なくとも今後の人生の根底を支えるものとして、その証は一生残っていくものだと思います。
今、自分が回り道をしていると思うときがあるかもしれません、けれどその回り道も一生懸命突き進めば本線への合流地点はきっと見えてくるのではないでしょうか。
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