学部長からのメッセージ

「ことば」を使って、多様な背景を持つ人々とともに、新たな価値を創造しよう‼

外国語学部長 今西 利之

2020年から数年間のコロナ禍で一時的な停滞はあったものの、国境を越える人の移動や経済活動が盛んに行われる時代となっています。その結果、国内外を問わず、言語的、文化的背景が異なる人々が協働し、共生することが特別なことではなくなっています。さらに、機械翻訳、生成AIの急速な発達により、異なる言語を話す人々やグループにあった「言語の壁」が極めて低くなっています。一昔前なら遠くにあった「外国」「異文化」は、みなさんのすぐそば、手の届くところにあり、母語以外のことばを使うことも特別なことではなくなってきています。

外国語学部での学びは、「ことば」を学ぶことにあります。しかし、これは発音、文法、表記などといった言語の形式的な面での「正確さ」「流暢さ」を身につけることのみを目標としているのではありません。「ことば」を使うためには、まず、「ことば」を客観的に観察して分析し、説明する力を身につける必要があります。また、その言語が使われている国・地域の文化・社会・思想・習慣など「ことば」の運用の基盤となっているさまざまなものをしっかりと把握すること、そして、単なる理解にとどまるのではなく、それらを活かして互いの差異や多様性を認め合い、意味あるコミュニケーションや協働を通じて、新たな価値を創造しようとする資質・能力・態度が求められます。外国語学部の学びは、このような資質・能力・態度を身につけ、「ことば」を使って、多様な背景を持つ人々とともに、新たな価値を創造することができる人になること、そして、日本社会のグローバル化を牽引する人になることを目標としています。

機械翻訳・生成AIは、とても便利なツールであり、これを利用することで、翻訳や情報収集などを簡単に行うことができます。しかし、機械翻訳・生成AIは、その仕組み上、意味を理解して処理を行っているわけではなく、意味あるコミュニケーションや新たな価値の創造を行うことは難しいと思われます。

このようなことができるのは「ひと」です。「ことば」は、情報伝達・受容のためのツールにとどまるものでは決してありません。新しいテクノロジーをうまく利用し、「ことば」を使って、多様な背景を持つ人々とつながり、意味あるコミュニケーションをして、新たな価値をいっしょに創り出していきましょう。

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