【法学部】スマホやパソコン、セキュリティは万全ですか?田村ゼミ生が京都府警察本部にて訪問調査

2022.12.02

京都府警察本部にて訪問調査を行っている様子

法学部では、学生同士や教員とのコミュニケーションを通じて主体的に学ぶ「AL(アクティブ・ラーニング)科目」を多数開講しています。その1つである田村 正博教授の「2年次・3年次演習(ゼミ)」では、社会安全政策をテーマに社会のさまざまな課題に関して考察を行い、グループごとに調査・発表と討議を行っています。
今回は、ゼミ生3人が京都府警察本部を訪れ、サイバー犯罪対策について調査した様子や調査内容をレポートします。

(学生ライター 外国語学部4年次 福崎 真子)

サイバー犯罪とは?

サイバー犯罪とは、コンピューターやインターネットを悪用した犯罪のことで不正アクセスやコンピューター・ネットワークを利用した犯罪などをいいます。ネットワークを利用した犯罪は、わいせつ、薬物、知的財産権の侵害、詐欺、名誉棄損、児童ポルノ、ストーカーなど、その種類はさまざまです。サイバー犯罪の被害件数は年々増え、手口も巧妙に進化し続けており、その対策が非常に重要視されています。

参考として

1.不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反
2.コンピューター又は電磁的記録を対象とした犯罪であって、刑法に規定されている次の犯罪
  • 私電磁的記録不正作出
  • 公電磁的記録不正作出
  • 支払用カード電磁的記録不正作出
  • 不正指令電磁的記録不正作出等
  • 不正指令電磁的記録取得等
  • 電子計算機損壊等業務妨害
  • 電子計算機使用詐欺
  • 公電磁的記録毀棄
  • 私電磁的記録毀棄
3.ネットワーク利用犯罪
 犯罪の構成要件に該当する行為についてネットワークを利用した犯罪、又は、構成要件該当行為ではないものの、犯罪の敢行に必要不可欠な手段としてネットワークを利用した犯罪

をいいます。

ご協力いただいたお二人の紹介

左から、京都府警察サイバー犯罪対策課係長の菱田氏、中嶋氏
訪問調査にご協力いただいたのは、京都府警察サイバー犯罪対策課係長の中嶋氏と菱田氏のお二人。中嶋氏は事件の捜査を、菱田氏は府民や企業を対象とした広報啓発活動などの犯罪被害防止対策を主に担当しておられます。調査中、緊張していたゼミ生に対し、常に笑顔で接され、専門的な話を身近な例を用いるなどして分かりやすく説明してくださいました。

・京都府警察サイバー犯罪対策HPはこちら
・京都府警察サイバー犯罪対策課のTwitterはこちら

調査内容ピックアップ紹介

真剣な表情で調査に臨むゼミ生の様子
調査は、ゼミ生があらかじめ用意していた質問や、即興で挙がった疑問に対して、中嶋氏と菱田氏が順次答えていく形式で行われました。その様子を一部ご紹介します。

1.被害多発!「フィッシング」「ワンクリック詐欺」などの詐欺

ゼミ生から「年代別でひっかかりやすい犯罪は存在するのか?」という質問に対し、中嶋氏は「特に高齢者の被害で多いのは詐欺や悪質商法ですね。詐欺にも色々あって、『フィッシング』や『ワンクリック詐欺』が有名ですね。」と回答。

「フィッシング」とは、例えば、SNSやSMSで金融機関をかたり、本人確認と称して、カード情報などを入力させ、その情報から金銭を騙し取る詐欺のことです。
「ワンクリック詐欺」とは、1度クリックしただけで偽の請求画面が表示され、登録料の名目で金銭を要求し、金銭を騙し取る詐欺のことです。
中嶋氏は「フィッシングは、宅配業者や官公庁をかたってメールなどが届くことが多いです」と解説されました。サイバー犯罪の種類に、ゼミ生たちは興味津々でした。

2.大学生も思わず震える…「十代ハッカーの存在」

サイバー犯罪者の犯罪目的について話をしていた際、菱田氏は「若い世代には『自分の技術や能力を周りに知らしめたい』という理由で、ゲームのアカウントなどに不正アクセスを行う人がいる。大学生だけでなく、十代前半で不正アクセスを行う人はいます」と解説されました。ゼミ生から「若すぎませんか…!?」「中年くらいの年齢の人が部屋の中でカタカタしているイメージでした…」と、驚きの声が挙がりました。

3.プロが常日頃から実践するサイバー犯罪対策とは?

ゼミ生からサイバー犯罪にひっかからないよう普段から気を付けることは?との質問に対し、中嶋氏は「全て疑ってかかること」、菱田氏は「ウイルス対策ソフトを利用すること」を挙げられました。

中嶋氏は「怪しいメールひとつをとっても、徹底的に調べます。そうすると、こんな人からメールが来るはずがないとか、来るとしても時間的に今なはずがないとか、いろいろと気づくことができます」と、インターネットの仕組みやサイバー犯罪の手口を知ることの大切さについて強調されました。

菱田氏は「基本的なことですが、スマートフォンやパソコンにはウイルス対策ソフトを活用しています。実は、私自身は事件の被害者や相談者が、対策ソフトをあまり活用していない印象を持っています。おそらく理由としては“動作が重くなる“ことと”お金がかかるから”なんですよね。すべてのインシデントに対応できるわけではないですが、大事なことですから、必要経費だと思ってほしい」と、防犯への意識とウイルス対策ソフトで犯罪を予防することの必要性について述べられました。

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上記の他にも、コロナ禍前後でのサイバー犯罪件数の変化、今後増えそうなサイバー犯罪の種類、SNSでの広報啓発などについてお話しいただきました。
お二人は、全国の大学生に向けて「IDやパスワードなど、個人情報の管理を徹底してほしい」「ネットリテラシーを身につけてほしい」とメッセージを述べ、お話を締めくくられました。

ゼミ生の感想

調査を終えた後のゼミ生の様子
座学だけでは学べないような話を聞くことができ、充実感に浸った3人。授業に関する素直な感想を、アンケート形式で答えてもらいました。

Q. 訪問調査を終えた今、率直な気持ちをお聞かせください

  • インターネットでは調べても出てこないような貴重な話を聞くことができて、とても勉強になったと感じています。
  • 実際にサイバー犯罪を担当している方に話を聞いて、自分で調べるだけでは分からないことも知ることが出来てよかったです。

Q.今回の調査で一番心に残ったことを教えてください

  • 十代前半のハッカーがいるというのにとても衝撃を受けました。また、気づかないうちに自分が加害者になっていることがあるということを改めて実感しました。
  • 不正アクセスなどの相談をする人でセキュリティソフトを入れていないがいると聞いて、お金がかかるから入れていない人が多いと思うが、自分が被害にあってからでは遅いので購入するべきだと思いました。

パソコン、スマホ、インターネットブラウザは、今や誰にとっても必須のアイテムとなり、故に誰もが使いやすいよう設計されています。しかし、言い換えれば「それらについて何も知らなくても」扱えてしまうということです。今回の調査に同行し「私は『知らない』側の人である」とはっきり自覚できる機会を得られたことに感謝しています。この記事を読んでいるみなさんはどちら側の人ですか?

<関連リンク>
田村 正博 | 京都産業大学 (kyoto-su.ac.jp)
田村教授の「News解説」 「犯罪は増えていて凶悪化している」という誤解| 京都産業大学 (kyoto-su.ac.jp)
・警察本部訪問調査 過去の記事 京都府警察本部訪問調査「児童虐待の現状を知る」~愛情を持って育てることの大切さ~ | 京都産業大学 (kyoto-su.ac.jp)

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