2022年12月の星空

今月の星空Starry sky of the month

海王星と天王星かいおうせいとてんのうせいNeptune and Uranus

海王星と天王星は、地球と太陽の間の距離の約30 倍(約45 億km)と約20 倍(約30 億km)も太陽から離れて回る惑星です。肉眼で見ることはできませんが、大気に含まれるメタンが赤い光を吸収するため、望遠鏡でのぞくと海王星は青色っぽく、天王星は青緑っぽく見えます。天王星は自転軸が90 度倒れた「横倒し」の惑星です。

火星かせいMars

太陽系の惑星で地球の1 つ外側を公転する火星は、地球の1/2 程度の小さな惑星です。2 年2 か月ごとの接近のタイミング(2022 年は12 月1 日最接近)で観察の好機を迎えます。望遠鏡を使うと、ドライアイスの氷である「極冠(きょっかん)」や大チルシスなどの模様も見ることができますが、見え方は火星の季節や天気(ダストストームなどでぼやけてしまう可能性もあります)にも大きく影響されます。

木星もくせいJupiter

木星は南西の空に圧倒的な輝きで目立っています。木星は太陽系最大の惑星で直径は地球の約11 倍もあります。望遠鏡を使うと、縞模様と周りをまわる衛星のうち数個を見ることができます。縞模様の正体は、大気中に含まれるアンモニアやメタンでできた雲の模様です。木星の特徴的な模様に大赤斑があります。大赤斑は周囲に比べ温度が低いことから高気圧性の嵐と考えられており、その大きさは地球のおよそ2-3 倍もあります。

土星どせいSaturn

太陽系の惑星で木星に次いで2 番目に大きい土星は、大きな環が特徴的なとても美しい天体です。今年は木星の東隣で黄色っぽく輝き、望遠鏡を使うと環に加えて土星の周りを回る衛星も見ることができます。土星の環は、主に直径数cmから数mの氷の粒の集まりで、ところどころに隙間が見られます。環の厚みは数10mから数100mほどしかありません。

二重星にじゅうせいDouble star

二重星は、肉眼では1つの星ですが、望遠鏡で見ると2つの星に見える星です。はくちょう座のくちばしに輝くアルビレオや、アンドロメダ座のガンマ星(アルマク)も色の対比が美しい二重星です。2つの星の色の違いは、星の表面温度の違いを表しており、青い方が温度が高い星です。

散開星団さんかいせいだんOpen cluster

ペルセウス座にある2つの散開星団 h-χ ( エイチ・カイ) やおうし座のすばる(プレアデス星団・M45)、ぎょしゃ座のM36、M37、M38 が見ごろです。h-χは、それぞれの星団には数十個から数百個以上もの星が密集しています。荒木望遠鏡では狭い範囲を拡大するため、2つの散開星団のうちどちらか1つを見ることになります。少しずつ集まり方の異なるぎょしゃ座の3 つの星団も比べてみましょう。恒星は、ガスの濃いところで集団で生まれ、h-χやすばるのような、若い星たちが集まった散開星団となります。やがて、散開星団の星たちは、時間が経つと少しずつ離れていくと考えられています。

銀河ぎんがGalaxy

太陽のような星が数千億個集まった星の大集団が銀河です。私たちの太陽系も、「天の川銀河」と呼ばれる銀河に属しています。アンドロメダ座にあるM31(アンドロメダ銀河)は、私たちの天の川銀河のお隣(距離230 万光年)の銀河です。数十億年後この2 つの銀河は合体し、1つの巨大な銀河になると予想されています。空の暗い場所では肉眼でも光のシミのように見えます。

PICKUP!

12 月10-31 日頃 全惑星が同じ空に

太陽系の7惑星(水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星)が日没直後の夕空に見ることができます。地球よりも太陽の近くを公転する水星、金星は日没後の西の空か、日の出前の東の空で見ることができますが、12 月はどちらもかなり低空にあります。水星が東方最大離角となる12月22日前後が見つけやすいでしょう。また、天王星、海王星は望遠鏡が必要です。日没直後はまだ空が明るいため、暗くなるまで待つか、自動導入付きの望遠鏡が便利です。12月24日~31日には、月も加わり、華やかな年末の空になりそうですね。