2023年5月の星空

今月の星空Starry sky of the month

二重星にじゅうせいDouble star

春の夜空では、いくつかの重星を観望することができます。重星は、肉眼で見ると1つの星ですが、望遠鏡を覗くと2つの星に見えます。北斗七星を形作るおおぐま座(ゼータ)星(ミザール)は、肉眼でもアルコルとペアになっているように見えますが、これは同じ方向に偶然星がある「見かけの二重星」と考えられます。一方で、ミザール自体は2 つの星がペアになった連星です。望遠鏡を使うとミザールの2つの星を見ることができます。その他、りょうけん座コル・カロリやしし座アルギエバも観察しやすい二重星です。

惑星状星雲わくせいじょうせいうんPlanetary nebula

太陽程度の重さの恒星は、一生の最期に水素ガスを使い果たして赤色巨星となった後で、外側のガスを周囲に放出します。この放出されたガスが、中心に残った星の残骸が放出する紫外線を受けることで輝いて見えるのが、惑星状星雲です。望遠鏡で見た時に、まるで惑星のように丸くほんのり色づいていることから、このような名前がついていますが、その正体は太陽のような恒星が終末期を迎えた姿です。おおぐま座には、ふくろう星雲と呼ばれる惑星状星雲M97があり、よく晴れた夜に望遠鏡を向けると、丸い形のガスの中に小さな黒い丸が2つ見える様子が、ふくろうの顔のように見えます。夜空が真っ暗になってから、惑星状星雲の淡い輝きをお楽しみください。

赤色巨星せきしょくきょせいRed giant

恒星は安定して輝く時期が長く続きますが、恒星の内部の水素を使い果たすと恒星の内部が縮み始め、その際に発生する熱によって外側のガスはさらに外へと膨張し、巨大な星になります。ガスが膨れると表面の温度が低くなるため、赤色に見えます。うしかい座のアークトゥルスは赤色巨星で、直径は太陽の約20倍です。

赤色巨星せきしょくきょせいRed giant

恒星は安定して輝く時期が長く続きますが、恒星の内部の水素を使い果たすと恒星の内部が縮み始め、その際に発生する熱によって外側のガスはさらに外へと膨張し、巨大な星になります。ガスが膨れると表面の温度が低くなるため、赤色に見えます。太陽の約20倍です。オリオン座のベテルギウスは赤色超巨星で、直径は太陽の約650倍も大きいことが観測されています。恒星の寿命が尽きようとしていて、いつ超新星爆発を起こしてもおかしくありません。

球状星団きゅうじょうせいだんGlobular cluster

球状星団は、数十万の恒星の集まりです。私達の銀河系の中には、約150個の球状星団があります。球状星団の中の星たちは非常に高齢で、100億歳以上の星もたくさんあります。夏には、ヘルクレス座のM13、りょうけん座のM3、へび座のM5などの球状星団が見られます。

PICKUP!

大きな星座

きらびやかな冬の星座が西の空へ傾くと、春の空はとたんに星が少なく、のんびりとした印象になります。88ある星座のうち、大きな星座ベスト3が春の空に勢ぞろいしてます。3位はおおぐま座。熊のしっぽが「北斗七星」です。2位はおとめ座。手に持つ麦の穂のところに一等星「スピカ」が輝きます。堂々の1位はうみへび座。東西に長い姿なので、頭から尾までを一度に見られる期間はそう長くありません。