【理学部】物理科学科 齊藤 国靖 教授が粉体のせん断変形における付着力の効果を明らかにした学術論文を出版しました
2025.03.14
研究成果
理学部 物理科学科の齊藤 国靖 教授が、付着力をモデルに取り入れた粉体の理論研究を行い、せん断変形に対する抵抗力(せん断応力)や応力降下、粉体の粒子構造などが付着力の強さによってどの様に変化するかを明らかにしました。この研究成果は学術誌Frontiers in Physicsの論文として掲載されました。
掲載論文
著者 : Kuniyasu Saitoh
題目 : Shear strength, avalanches, and structures of soft cohesive particles under shear
掲載誌 : Frontiers in Physics 13, 1548966 (2025)
DOI : 10.3389/fphy.2025.1548966
URL : https://doi.org/10.3389/fphy.2025.1548966
題目 : Shear strength, avalanches, and structures of soft cohesive particles under shear
掲載誌 : Frontiers in Physics 13, 1548966 (2025)
DOI : 10.3389/fphy.2025.1548966
URL : https://doi.org/10.3389/fphy.2025.1548966
研究概要
粉体は私達の日常生活に深く関わる材料の一つで、粉末状の食品や薬品などが典型例として挙げられます。粉体を製品化するプロセスにおいて、粉体がどの様に動き、どの様な状態に変化するかを見極めることは重要です。そのために、粉体に何らかの変形を加えたときの力学特性を知っておく必要があります。本研究では、粉体のせん断変形を数値シミュレーションによって再現し、せん断に対する応力や粒子構造の変化について理論研究を行いました(図)。特に、粉体を構成する粒子間に働く付着力の効果に注目し、せん断応力の強さ、応力降下の統計則、塑性変形に伴う粒子変位の大きさなど、粉体特有の応答を解析しました。その結果、付着力の強さを表す無次元パラメーターによって応力の強さが決まり、応力降下の統計則についてはこれまでとは違う法則性があることが明らかになりました。さらに、応力降下が発生する塑性変形に伴い、粒子構造も変化しますが、付着力の強さに応じて粒子構造の変化の仕方が質的に異なることも明らかになりました。

参考
- 京都産業大学 教員紹介ページ:齊藤 国靖 教授