神山天文台の新井 彰 研究員と新中 善晴 嘱託職員がイタリアで開催された研究会 “The Golden Age of Cataclysmic Variables and Related Objects V” にて招待講演を行いました

2019.09.06

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ニュース研究理学部天文台

神山天文台の新井 彰 研究員と新中 善晴 嘱託職員は、2019年9月2日~7日にイタリアのパレルモで開催された「The Golden Age of Cataclysmic Variables and Related Objects V」に参加し、招待講演を行いました。今回参加した研究会は、招待された研究者のみが参加する激変星(*1)に関する世界最大規模の研究会で、5回目の今回は世界中から約60名の専門家が集まり議論を交わす、非常に重要な国際研究集会です。神山天文台では、これまで多くの新星爆発に関係する観測研究を行ってきており、そうした研究のアクティビティを認められて今回の2件の招待講演となりました。現在、神山天文台は国内における可視光線・近赤外線波長域での観測研究拠点として活躍しています。

新井研究員は「Spectral Evolution of Novae in the Near-Infrared(近赤外線における新星のスペクトル進化)」というタイトルで講演を行い、新星における近赤外線観測の重要性の説明に加え、神山天文台の「赤外線高分散ラボ」で開発された近赤外線高分散分光器WINERED(*2)による新星の観測例を紹介しました。

写真1:新井研究員の発表の様子

新中氏は「Spatial Distribution of Nova Ejecta during the Early Phase of Explosion of V339 Del from its high-resolution Optical Spectropolarimetry(可視光高分散偏光分光観測によるV339 Delの新星爆発初期の放出物の空間分布)」というタイトルで講演を行い、神山天文台で開発された可視光線偏光分光器VESPolA(*3)によって明らかにしたいるか座新星(V339 Del)の爆発初期の幾何構造について発表しました。また、高分散偏光分光という観測手法が、空間分解できない小さな幾何構造を明らかにする非常に強力なツールであることを紹介しました。詳しくはこちら

写真2:新中氏の発表の様子

用語解説

*1 激変星
新星を含む、近接連星系における爆発的増光現象の総称

*2 WINERED(ワインレッド、近赤外線高分散分光器)
京都産業大学神山天文台の研究プロジェクト「赤外線高分散ラボ(Laboratory of Infrared High-resolution spectroscopy: LiH)」が、東京大学大学院や関連企業との協働によって開発した、世界トップレベルの感度を誇る近赤外線高分散分光器です。波長範囲は近赤外波長域(0.9-1.3μm)で、WIDEモード(波長分解能=28,000)とHIRESモード(波長分解能=70,000)の2つの観測モードを有しています。近赤外線波長は、可視光と比べてガスを見通した観測ができるため、可視光と比べて濃いガスの中まで観測することができます。これまでにも数多くのDIB(Diffuse interstellar band; ぼやけた星間線)の発見、彗星に含まれるCN分子の元素同位体比、晩期型巨星の有効温度の推定、ミラ型星の化学組成比、大気吸収線補正方法の確立、早期型星のラインカタログの作成(Hamano et al. 2015, 2016, Sameshima et al. 2018a, 2018b, Shinnaka et al. 2017, Taniguchi et al. 2018)など様々な天体について成果を出してきています。2017年からチリ共和国のラ・シラ天文台の新技術望遠鏡(口径3.58m)に搭載して運用しており、現在、さらなるサイエンスの拡大目指して、ラス・カンパナス観測所(チリ共和国)のマゼラン望遠鏡(口径6.5m)への移設を進めています。
写真:チリのラ・シラ天文台のNTT望遠鏡に搭載したWINERED。
*3 VESPolA(ベスポラ、可視光線偏光分光器)
京都産業大学で開発した、世界トップレベルの偏光決定精度を誇る可視光線偏光分光器です。波長範囲は可視光長域(400-850 nm)で、2つの波長分解能(7,000と20,000)と2つの異なる偏光(直線偏光と円偏光)の計4つの観測モードを有しており、いずれも偏光決定制度0.1%以下の精度で決定できます。高分散・線偏光分光観測手法はたいへん高度な観測技術を必要とし、観測やデータ処理も複雑なのですが、普通の撮像観測(画像)では単なる「点」としてしか写らない非常に遠方の天体でも、この観測手法によって、その天体の空間的な広がりや構造を解明できます。今回の観測には、波長分解能=7,000と直線偏光モードを用いました。VESPolAは神山天文台荒木望遠鏡に搭載され観測が行われています。
写真:高分散偏光分光器VESPolA(神山天文台 口径1.3m荒木望遠鏡に装着)。
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京都産業大学 神山天文台
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土曜日:14:00~20:00 ※休館日を除く

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