大学院理学系研究科生を含む研究チームが赤外線光学材料の高精度な透過率測定に成功

2016.09.21

京都産業大学大学院・理学研究科博士後期課程の加地 紗由美さんを含む、京都産業大学神山天文台および東京大学大学院の研究者からなる研究チームは、次世代・宇宙望遠鏡による赤外線天文学の実現に必須な高効率イマージョン回折格子の素材候補テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)単結晶について、極めて高精度な赤外線透過率測定に成功し、同材料が宇宙望遠鏡用イマージョン回折格子の実現に最適であることを見いだしました。これにより次世代宇宙望遠鏡による赤外線高分散分光観測が実現可能となり、宇宙における生命起源物質の探査など、来るべき赤外線天文学の未来に向けた第一歩を踏み出しました。

※赤外線高分散分光観測・・・人間の目に見える光(可視光線)よりも波長の長い赤外線の光を、数万色以上の色に分解して観測する分析手法。宇宙における種々の分子ガスの存在量や運動などを明らかにできるという特徴を持つ。

左図:宇宙の様々な場所に複雑な分子が存在することが、現代の天文学によって明らかになりつつあります。地球の大気に邪魔されない宇宙望遠鏡からの赤外線高分散分光観測によって、地球や他の惑星における生命発生にいたる宇宙の進化を解き明かすことができるかもしれないと期待されています。(Photo:©Jenny Mottar)

京都産業大学神山天文台・赤外線高分散ラボでは、国内における赤外線高分散分光天文学拠点として、高効率イマージョン回折格子や赤外線高分散分光器の開発、これらを用いた天文観測研究を学内外の研究者・学生、関連企業の研究者らが一体となって推進しており、研究面だけでなく大学院生の教育面でも大きな成果を上げています。
測定の様子:加地 紗由美さん(大学院理学研究科 博士後期課程2年)

京都産業大学大学院に在籍する加地 紗由美さんは、今回の研究において高精度透過率測定装置の開発と実際の測定に中心的な役割を果たしました。加地 紗由美さんは今回の研究成果について「次世代宇宙望遠鏡による中間赤外線高分散分光観測の実現に、ひいては新たな観測・研究分野の開拓実現に一歩前進できたことを嬉しく思います。」と語っています。

★詳細につきましては、赤外線高分散ラボの「トピックス」ページをご覧ください。

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