2020.11.13

特集

【後編】京都産業大学の黒坂光新学長インタビュー!「学生のみなさんには、成功・成長体験を味わってほしい!」

10月に新学長に就任した黒坂光(くろさか あきら)学長。取材にお伺いしたのは就任からまだ1週間後でしたが、学長室に早くもなじんでおられるように見受けられます。

2020年10月、京都産業大学学長に黒坂光教授が就任されました。私たち学生は、学長と直接関わる機会は大学生活の中であまりありません。そこで、読者である学生のみなさんに新学長を身近な存在に感じてもらいたいと思い、学生広報スタッフの岡田が黒坂学長にインタビューをしました。
前編に続き、この後編では黒坂学長の学生時代のお話と私たち学生へメッセージをいただきました。
※この記事は10月上旬にオンラインで取材したものです。

実験漬けの毎日を送った大学時代から、京都産業大学の教員へ

白衣姿の黒坂学長。撮影時は学長就任前。

——黒坂学長はどのような経緯で京都産業大学に来られたのですか?

【黒坂学長】30数年前、京都大学薬学部から大学院の博士課程まで進学しました。ずっと研究室で実験・研究をしていましたから、「将来はなんらかの研究職につくだろうな」と思っていました。当時は製薬会社が薬の開発に多くの研究者を採用していたので、製薬会社の研究職になろうかと思っていました。
けれど、ちょうど京都産業大学に工学部生物工学科を開設するにあたり、当時所属していた研究室の教授が初代学部長として赴任することになり、その教授から誘われて来ることになりました。

——黒坂学長は、なぜ薬学部に入ろうと思われたのですか?

【黒坂学長】実家が薬局で、6つ年上の兄が医学部へ進学していました。自分としては、理系しか考えておらず医学部に進むか迷ったんですが、地味にコツコツとやるタイプなので基礎研究や開発などのほうが向いているのではないかと考えて、薬学部を選びました。

——今までどのような研究に取り組まれてきたのですか?

【黒坂学長】生体を構成する分子の構造と機能について調べてきました。専門は糖タンパク質の働きです。先程話した工学部生物工学科の初代学部長である教授の研究室で、指示されたテーマを追いかけながら、自分で少しずつ研究の方向性を決めていきました。現在は糖の構造をつくる酵素の働きにシフトして研究しています。

——薬学部といえば、実験が多いイメージがあります。

【黒坂学長】朝から実験、夜遅くまで実験。大学院生の頃からずっと、月曜日から土曜日まで実験ばかりの生活でした。「そのくらいまでせんと他の大学にどうやって勝つんや?やる大学はやってるんやから」というのが、私の考えでした。時代が変わったので、最近の学生さんは土曜日に休みを取るのが普通ですよね。でも私は何か用事がない限り、今でも土曜日も休むことなく大学に来て論文を読んだり、実験をしたりしています。

——その言葉には重いものがありますね。研究で成果を出さないと、というプレッシャーは大きいですか?

【黒坂学長】それはそうですね。やっぱり研究していると「人より少しでも早く、少しでも良い成果を」とか、「新しい研究結果を先駆けて発表したい」という思いがあります。まあ現実は難しいですけど(苦笑)。やはりどんなに効率よく実験を行ったとしても、一定以上実験に時間をかけないと研究は進まないものです。

——黒坂学長は、どんな学生時代を過ごされたのですか?

【黒坂学長】自分で言うのもなんですが、真面目でしたよ(笑)。ずっと研究室にいたので、当時は趣味もなくほとんど実験していました。私の研究室は厳しかったんです。家が大阪で通うのが難しくなり、研究室に入ってから大学の近くに下宿を始めたほどです。サークルとかにも入らなかったですね。

——実験漬けの毎日を送られていたんですね。その実験は楽しいものだったんですか?

【黒坂学長】楽しくないです。ほとんど苦痛です(笑)。でもね、時々うまくいくんですよ。あと、研究成果がまとまって論文になり、科学誌に自分の名前が掲載されたときは嬉しい。さらに、それが意義のある研究だと、ものすごく嬉しい。2年に1回くらい起こる大きな喜びを糧に、頑張っていましたね。

学生にはぐっと階段を上って、『成功・成長体験』を味わってほしい!

学長室でパソコンに向かう黒坂学長。

——冒頭で黒坂学長は一番大事なのは「京都産業大学の学生がいきいきと勉強できる環境をつくる」とおっしゃっていました。具体的にどのようなことが必要だと思いますか?

【黒坂学長】まずは「しっかりと教える」ということ。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、「しっかり教えて正しく評価したい」と思います。そして、カリキュラムを通じて学生には成長してほしいと思います。それぞれの学部が「こういう人材を育てよう」というビジョンに基づいて、カリキュラムを準備していますから。
勉強していると「自分が今伸びたな」と思う瞬間が訪れます。それは、いい加減に勉強していると味わえない体験です。学生の立場からすると大変なことのように思うかもしれませんが、しっかりと勉強して『成功・成長体験』を味わってほしいなと思っています。
勉強は「坂道じゃなくて階段だ」と思うのです。坂道はちょっと足踏み出すだけでも、じわじわ上っていける。でも、階段はそうではありません。階段は、垂直に足を上げてぐっと上らないと、次の段に立てない。そのうえ、階段は坂道と違って、ぐっと上った瞬間に「今1段を上がったな」と、自分で気がつける。そうして下のステップにいた自分を振り返ると、「あのとき、こんな簡単なことがわかってなかったんだ」と自分を振り返ることができる。それがわかるともう1段行こうかな、という気にもなるんですよね。
ほどほどの勉強の仕方だと、階段を上っている実感がないような状況になってしまう。だから、京都産業大学に来た限りは、1段でもよいから階段を上って『成功・成長体験』を味わってほしいと思います。そのために、学生がしっかりと学べる環境づくりに取り組みたいと思っています。

——京都産業大学の長所をどのようにお考えですか?

【黒坂学長】京都産業大学の学生は、素直で本当に気立てがいいと思います。たとえば地域の方と連携するようなカリキュラムがありますが、一緒に取り組んでいる地域の方々から気に入られる学生だと感じます。あとは、目標を持ったらしっかり取り組む。なので、私たちはなにか目標をもたせられるような指導をしていきたい。「こういうことを勉強したらこんなおもしろいんだよ」と。そのような学びは『成功・成長体験』につながるし、学生がもっと元気になって、大学もよくなっていく。そんな良い循環を目指したいですね。

——最後に、学生へのメッセージをお願いします。

【黒坂学長】繰り返しになりますが、学生のみなさんには『成功・成長体験』を味わってほしい。これが一番の願いです。そして、大学を好きになって卒業していってほしいですね。自分の大学に誇りをもってほしい。京都産業大学の同窓生に会うと、卒業生の方々の母校に対する愛情ってすごいなと驚かされます。卒業を待たずに、在学中から自分の大学を好きになってほしいと思います。
あと、こんな時期ではありますが、大学生活をエンジョイしてほしいです。もちろん勉強が最も大事ではありますが、それだけではありません。課外活動やクラブ活動で、いい友達に出会ってほしいです。友達と語り合って、アルバイトもして、できたら留学とかもして、いろんな経験をしてください。若い間は全部の経験が自分の力になっていくから。そうやって、さまざまな経験を通じて成長して卒業してほしいですね。


今回のインタビューで、黒坂学長は研究姿勢や体力づくりなど自分にストイックな方でありながらも、口調はとても優しく学生想いの先生であると感じました。また、私たちに「成功・成長体験を味わってほしい」と何度もおっしゃっていたのが、とても印象に残りました。そういった機会はこれからの大学生活にたくさんあると思います。そんな機会を逃さないよう、「勉強も他の活動もやるときはやる」とメリハリをつけて、これからの大学生活を過ごしていきましょう。

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