2022.06.10
カルチャー6月の京都といえば「夏越の祓」。茅の輪くぐりで厄除けしよう!
毎年、1年の真ん中にあたる6月に、各神社で行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」。皆さんはどんな行事か知っていますか?夏越の祓とは神社の境内に設置される大きな「茅の輪(ちのわ)」をくぐって半年間の厄祓いをするというものです。夏越の祓は、各神社で行われていますが、神社ごとにそれぞれ特色があるんですよ!今回は大学に近い北野天満宮と上賀茂神社にお参りをしてきたので紹介したいと思います。
夏越の祓とは
昔の人は、立春から立夏(現在の2月4日〜5月6日ごろ)にかけての時期は、食物が傷みやすく疫病も流行りやすいため、精進潔斎※(しょうじんけっさい)して酷暑の夏を乗り切れるよう、神様に祈ったそうです。12月の大晦日(おおみそか)にも半年間の罪穢れを落とす「大祓式(おおはらえしき)」が行われ、神社にとっては年に2回ある大切な神事です。
※精進潔斎とは、酒や肉を断って身を清めること。
夏越の祓を象徴する「茅の輪くぐり」
京都の神社の多くは、夏越の祓の際に、大きな茅の輪を設置します。茅の輪というのは、茅(ちがや)という、細長いイネ科の植物で作られています。茅の輪をくぐることで、疫病退散・無病息災を願います。
茅の輪は、蘇民将来(そみんしょうらい)の伝承に由来します。かつてスサノオノミコトが旅先で、蘇民将来の兄で裕福な巨旦将来(こたんしょうらい)に一夜の宿を求めましたが、断られました。しかし貧乏な蘇民将来はスサノオノミコトに快く宿を提供します。スサノオノミコトはそのお礼として、茅の輪を授け、立ち去りました。その後、疫病が流行り、巨旦将来の一族は滅びましたが、蘇民将来の子孫は腰に着けた茅の輪のおかげでその後もずっと疫病から逃れて繁栄したそうです。この蘇民将来の伝承と夏越の祓の行事がいつしか結び付いて、現在のように夏越の祓の日に茅の輪を設置するようになったといわれています。
京都最大級!直径5メートルもの大茅の輪が設置される北野天満宮
※「御誕辰祭」は、「夏越天神(なごしてんじん)」とも呼ばれています。
6月30日は神事に参加してみよう!
なお、新型コロナの流行もあり、茅の輪をくぐりたいという方が多いそうで、御本殿前の茅の輪は、今年は6月1日から設置されています。
また、茅の輪くぐりに加えて、人や車の形をした紙製の人形に、自分の罪穢れを移し、清めてもらうという厄祓いも行われています。人形代(ひとがたしろ)には、自分の氏名と年齢を、車形代(くるまかたしろ)には、氏名と車名、ナンバーを書きます。その人形で体や車をさっと撫で、3度息を吹きかけ、夏越の祓の日までに神社に納めます。
このように北野天満宮では、6月いっぱいさまざまな形で夏越の祓に参加することができます。今も昔も変わらぬ健康への願いをかみしめながら、厄祓いをしてみましょう。
北野天満宮
住所:京都市上京区馬喰町 北野天満宮社務所
アクセス:JR京都駅から市バス50・101系統、阪急大宮駅から市バス55系統
北野天満宮HP
人形を流して罪穢れを祓う、上賀茂神社の夏越の祓
夜8時からの「夏越の大祓式」は、境内を流れる「ならの小川」沿いに建つ「橋殿」で行われます。まず、五官とよばれる5人の神職が自らを清めるため自祓(じばらい)を行います。その後、参拝者のお祓いをし、最後に、篝火(かがりび)に照らされる中、参拝者から納められた人形(ひとがた)や車形を、ならの小川の清流に流します。
北野天満宮と同様に、人形・車形には自分の氏名や年齢などを書き、息を吹きかけ(あるいは体の悪いところをなで)、当日の祭典中までに神社に納めます。
学生広報スタッフが「人形の祓」を体験してみました!
茅の輪のくぐり方
「水無月(みなづき)の 夏越の祓 する人は ちとせの命 のぶというなり」という『拾遺和歌集』にある歌を心の中で唱えながら、左回り・右回り・左回りと八の字を描くように3回くぐり抜けます。
賀茂別雷神社(上賀茂神社)
住所:京都市北区上賀茂本山339番地
アクセス:市バス「上賀茂神社前」下車すぐ・京都産業大学からは上賀茂神社直通の「上賀茂シャトルバス」が出ています。
上賀茂神社HP