2025年4月の星空

今月の星空Starry sky of the month

火星かせいMars

太陽系の惑星で地球の1つ外側を公転する火星は、地球の1/2程度の小さな惑星です。2年2カ月ごとの接近のタイミング(2025年は1月12日最接近)で観察の好機を迎えています。望遠鏡を使うと、ドライアイスの氷である「極冠(きょっかん)」や大チルシスなどの模様も見ることができますが、見え方は火星の季節や天気(ダストストームなどでぼやけてしまう可能性もあります)にも大きく影響されます。

散光星雲さんこうせいうんDiffuse nebula

西に沈みゆくオリオン座の三つ星のすぐ南に並ぶ小三つ星のうち、真ん中の天体は星ではなく散光星雲で、この中で今も次々と星が生まれています。望遠鏡を覗くと、星雲のガスと、生まれてから約150万年しか経っていない赤ちゃん星が台形の形に4個並んでいるトラペジウムが見えます。明るく輝く生まれたての星々の光が周囲のガスを照らして温めることによって、オリオン大星雲は輝いています。

赤色巨星せきしょくきょせいRed giant

恒星は安定して輝く時期が長く続きますが、恒星の内部の水素を使い果たすと恒星の内部が縮み始め、その際に発生する熱によって外側のガスはさらに外へと膨張し、巨大な星になります。ガスが膨れると表面の温度が低くなるため、赤色に見えます。うしかい座のアークトゥルスは赤色巨星で、直径は太陽の約20倍です。オリオン座のベテルギウスも赤色超巨星で、直径は太陽の約650倍も大きいことが観測されています。恒星の寿命が尽きようとしていて、いつ超新星爆発を起こしてもおかしくありません。

二重星にじゅうせいDouble star

重星は、肉眼で見ると1つの星ですが、望遠鏡を覗くと2つの星に見えます。北斗七星を形作るおおぐま座ζ(ゼータ)星(別名:ミザール)は、肉眼でもアルコルとペアになっているように見えますが、同じ方向に偶然星がある「見かけの二重星」か、お互いの周りを回りあう「連星」かはまだわかっていません。ミザール自体は2つの星(ミザールA、B)が回りあう連星で、望遠鏡を使うとミザールA、B の2つを見ることができます(実際にはさらに2つずつの星が回りあっていて、4 つの星の連星系だとわかっています。)その他、りょうけん座コル・カロリやしし座アルギエバも観察しやすい二重星です。

PICKUP!

世界初のプラネタリウム

いつでも満点の星空を見ることができるプラネタリウムは、いったいどれくらい前に作られたのでしょうか。現在のような星を投影する型式は、今から102年前の1923年にドイツの光学メーカー「カール・ツァイス」によって作られました。これは、4500個の星と5つの惑星の動きを投影できました。ちなみに、日本で最初のプラネタリウムは、1937年に大阪市立電気科学館(現:大阪市立科学館)に設置されました。4月19日(土)に開催される企画展関連講演会でも、このお話が出てくるかも…。