【法学部】京都の大学に通う、私たちだからこそできることを考えよう。松井 孝治 京都市長がゲストスピーカーとして登壇!

2024.07.10

松井 孝治 京都市長と冒頭の挨拶をする山田 啓二 教授

法学部専門科目の「地方自治未来論」(担当:山田 啓二 教授)にて、2024年2月から京都市長を務める松井 孝治 氏をお招きした講義が行われました。「『突き抜ける世界都市 京都』の実現に向けた挑戦」をテーマに、京都の街のあり方や、京都で大学生活を送る学生が大切にすべきことについて講義をされました。現役の京都市長からお話を聞く、貴重な機会となりました。

(学生ライター 法学部 1年次 笹山 美咲)

京都市出身の松井 孝治市長は東京大学卒業後、通商産業省(現在の経済産業省)に入省されました。その後内閣官房副参事官や参議院議員、内閣官房副長官などを歴任され、政界引退後は慶應義塾大学の教授として勤められたのち、2024年2月第27代京都市長に選出されました。元京都府知事である山田 啓二 教授の6年後輩にあたり、内閣官房時代から、約30年に渡って親交があるそうです。
講義をされる松井市長
講義は1978年に採択された文化による世界平和の実現を希求した「世界文化自由都市宣言」の紹介から始まり、幅広い内容の講義が展開されました。
松井市長は「学生のまち」である京都が、「留学生に選ばれるまち」であってほしいと述べられ、さまざまな文化が混ざり合う様子を漬け物の「ぬか床」に例えて、世界中から突き抜けた個性を持つ人が集まる、「居場所」と「出番」のあるまちにしたいと話されました。
学生の質問にも丁寧に回答された
講義の中で特に印象的だったのは、「魅力」と「課題」は表裏一体だということです。
普段私たちは家と大学やアルバイト先を往復し、気軽に入れるチェーン店を利用しがちですが、京都には風情のある喫茶店や町家、お店が多くあります。それらに加え、美術館や世界遺産の文化財にアクセスしやすい環境を活かし街に足を運び、地域に息づく生活文化の美しさを味わった上で、文化を維持・改良する方法を考えてみてほしいと話されました。
一方で、京都市は神社仏閣などの歴史的資源や木造家屋が多い分、税収の不安定さといった課題もあります。「街の課題は、君たちのビジネスチャンスでもある」と述べられ、学生には、「伝統産業の担い手不足の解消のような課題に関わってほしい」と訴求されました。最後に「攻めの都市経営をするための材料は、皆さんの街の中にある」と訴えかけられ、講義を締めくくられました。

講義後には質疑応答が行われ、山田教授とともに学生からの質問に答えていただきました。学生からの「自分の出身地である向日市は、京都市においてどのような役割を持つのか」という質問に。松井市長は京都市に隣接する向日市に建設される京都ハンナリーズのホームとなる「京都アリーナ(仮称)」を例に挙げ、「共存共栄」の考えから建設地誘致への感謝を述べられました。山田教授は亀岡市にある「サンガスタジアムbyKYOCERA(京都府立京都スタジアム)」を例に、「スタジアムがあることでまちが発展し、京都の縦貫部に軸ができた」という意見を述べられました。「隣接する向日市と京都市が互いに切磋琢磨することで相乗効果が生まれ、結果、雇用や税収が増えるのではないか」と返答されました。外国人観光客増加によるオーバーツーリズム対策の質問に対しては、「有名な観光地のみが混み合う一極集中を緩和し、文化財以外の京都の生活・伝統文化を知ってもらえるイベントの開催も必要である」との回答がありました。この他にも多くの質問があったことから、多くの受講生が行政や社会に関心を持っていることが伝わりました。
今回の講義で、京都の魅力の裏にある課題に気付くと同時に、多角的に京都を知ることができました。大学教授の経験もある松井市長ならではのわかりやすい講義は、1年次生にとっても大変興味深い内容だったと思います。これからの学生生活や将来の過ごし方、京都の街で何ができるのかについて考えるきっかけとなる授業でした。
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