【外国語学部】在学留学体験レポート 秋山 玲さん(交換留学)

2025.02.20

外国語学部 英語学科 3年次 秋山 玲さん

留学期間 国名 留学先大学名 留学の種別
2024年8月28日から2025年1月9日まで ハンガリー セゲド大学 交換留学
ハンガリーの首都ブタペストにある国会議事堂前にて
私は2024年の8月から2025年の1月までハンガリーにあるセゲド大学に留学しました。
大学入学当初から目標であったこの交換留学は、私に計り知れないほど貴重な経験と思い出を残してくれました。
このレポートでは、私が半年間の留学を通じて感じたこと、学んだことを書きたいと思います。

未知の世界ハンガリー

ハンガリーに留学したと話すと「どうしてハンガリーを選んだの?」とよく聞かれます。私は最初、カナダの大学を第一希望に面接を受けようと考えていました。カナダは英語圏で治安も良いことから留学先として人気があり、日本人留学生も多いということで安心感があったからです。でも、なぜかわくわく感が少なく、どこか納得がいっていませんでした。私の留学の一番の目標は、さまざまなことに挑戦し、多様な人、価値観、文化に触れることで、人として成長することでした。京都産業大学からセゲド大学への交換留学生は長年おらず、ハンガリーという国に対する先入観も全くありませんでした。このことから、好奇心と挑戦心が掻き立てられ、選考締切間近に第一希望をセゲド大学に変更しました。

ハンガリーに到着して最初に心をひかれたものは「空」でした。澄み渡った青空と真っ白な雲がきれいで、とにかく「空が広い」と感じました。そしてたくさんの飛行機雲がくっきりと見えました。空が大好きな私にとって、セゲドの空を眺めることは日々の楽しみのひとつでした。この空の広さが、留学中さまざまな感情に駆られる私の心を少し和らげてくれていた気がします。
セゲドの空
セゲドの飛行機雲

セゲドの街

セゲドの街は、ハンガリー南部に位置し、ブタペストのリスト・フェレンツ国際空港からバスと列車で約3時間の場所にあります。ハンガリーは主要言語がハンガリー語なので、街中の表記は全てハンガリー語で、英語がわからない人々もたくさんいます。下調べはしていましたが、予定通りスムーズにはいかず、留学初日はセゲドの街に到着するのに約5時間半もかかりました。セゲドへ向かう列車での約2時間半の緊張感と大学の寮に到着したときの安心感は今でも忘れられません。
セゲドの街並み
道端の花
セゲドは自然豊かで落ち着いたコンパクトな街でした。
ティサ川から扇状に町が広がっていて、いたるところにセゲド大学のキャンパスがあり、学生も多い街です。アールヌーボー様式の建物が多くみられ、特に大学のメインビルディング周辺はかわいらしい雰囲気に包まれています。
首都ブタペストのような都市ではありませんが、道端に花が咲いていたり、少し路地に入ると小さなカフェや雑貨屋さんがあったり、たくさんのベンチや広い公園があったりと、穏やかで温かい雰囲気の街でした。
学校帰りは毎日が探検気分で、いろいろな道を歩いて開拓していたのを思い出します。

大学の授業と異文化理解

大学では、ハンガリー出身の学生だけでなく、ドイツ、ロシア、スペイン、トルコ、モロッコ、韓国、インドネシア、イスラエル、カナダ、イタリアなど、数えきれないほど多くの国の学生と出会いました。多様な文化や価値観を持つ学生と出会い、時間を共有できたのは、セゲド大学だからこそ得られた経験だと強く感じています。
私は学部留学だったため、正直授業は苦戦しましたが、なんとか乗り越えました。特に印象的だった授業は、「Living Abroad, Reflecting the Intercultural Experiences」という授業です。この授業のトピックは、異文化環境で暮らすことによる心身の変化や適応方法、異文化経験を通じた自国の文化の再認識など、毎回興味深い内容でした。授業では、学生それぞれが感じることを率直に発言し、常に議論が交わされます。時には学生同士が感情的になる場面もあり、それだけ真剣に向き合える、学びの多い時間でした。この授業を通じて、自国について深く知り、自国の文化に親しむことの大切さを学びました。自分が「普通」だと思っていることも、「独自の文化」や「個性」としての側面を持ち、それを認識し愛着を持つことが重要だと感じました。自国や自身への理解を深めることが、異文化や異なる背景を持つ人々への関心・理解につながり、異文化理解への第一歩になるのだと実感しました。
世界の料理をみんなで

環境の変化と自分への気づき

私は留学生活を通して、環境の変化に伴う自分の体調の変化を経験しました。言語も伝わらない初めての土地に一人で飛び込むことへの緊張もあったとは思いますが、現地での食事や水、気候の変化に、今まで20年間日本で生きてきた私の体は、すぐには適応できませんでした。特に、ハンガリーの乾燥した空気の影響で、到着後約1週間は声がほとんど出ませんでした。これまで環境やコミュニティの変化は何度も経験してきましたが、原因不明の体の不調や高熱など、自分が予期していなかった留学中の体の症状に混乱したこともありました。しかし、この経験を通じて、自分の体調の変化にどのように対応すればよいかを学びました。事前の対策の重要性を実感し、早めの行動や対応を心掛けるようになりました。今後社会人として働くうえでも、異国の地で自分の体調の変化を身を持って経験できたことはとても大きかったと感じています。

いろいろな人たちとの出会い

私はセゲド大学で、大好きな友人たちに出会うことができました。最初のオリエンテーションウィークは、日本の大学との違いを強く感じ、特に印象に残っています。授業開始の1週間前には新入生のためのさまざまなイベントやパーティーが開催され、そこでいろいろな学部の人たちと出会いました。みんなでブタペストを訪れたり、自国の料理を振る舞いあったり、日帰り旅をしたり、誕生日を祝い合ったり、一緒に歩いた道や食べたもの、すべてが忘れられない思い出です。なかでも、日本を離れ、異国の友人たちと過ごす年越しは初めてで、とても新鮮でした。そんな友人たちのおかげで、セゲドという街は私にとってかけがえのない思い出の詰まった場所となりました。思いやりに満ちたあたたかい友達に出会えたこと、そして一緒に貴重な時間を過ごせたことに、本当に感謝しています。 
オリエンテーションウィークでの一枚
みんなで過ごした年越し
また、私は休暇を利用して、いくつかの国を一人で旅しました。その中で、ヨーロッパを旅するアメリカ出身の男の子、テラス席でブランチを楽しむおじいさん、フィリピンから出稼ぎに来た女の子など、さまざまな背景を持つ人々に出会いました。温かく迎えてくれる人もいれば、そうでない人もおり、思いやりにあふれた人もいれば、そうでない人もいました。全ての出会いを通じて、多様な生き方と可能性を知りました。文化や国に対する先入観や偏見は意味が無く、どの国にも自分のアイデンティティを大切にしながら生きる、個性豊かな人々がいました。

最後に

半年間の留学期間はあっという間に過ぎ去りましたが、その中での経験は新鮮なことばかりで、自分自身の成長を実感する時間となりました。決して楽しいことばかりではなく、自分の未熟さに悩み、困難や孤独を感じることもありました。しかし、常に挑戦する心を忘れずにそれらを乗り越えたからこそ、大きな達成感と貴重な思い出を得ることができたと感じています。

世界にはたくさんの美しいものや景色がありました。ハンブルグの倉庫街の街並み、インターラーケン(スイス)の雪景色、特に、イタリアのミラノ大聖堂を見た時はその荘厳さに言葉を失いました。しかし、それは日本も同じで、今自分が暮らしている町にも美しいものがたくさんあります。でも身近なものほど見慣れてしまい、その魅力に気付きにくくなります。同じように、今の日々の環境に慣れてしまうとそれが当たり前となって、その良さや感謝の気持ちを忘れがちになります。この留学を通して、私は、日々の中で美しさを感じる心を大切にし、自分を支えてくれる人、そばにいてくれる人、応援してくれる人、心配してくれる人への感謝を忘れずに過ごしたいと強く思いました。
そして、今回の留学をサポートしてくださった全ての方々に心から感謝しながら、この経験を糧に、これからの人生を素直に、精一杯生きていきたいです。
よく行ったカフェにて
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