【法学部】沖縄返還の裏にあった密約を記す「若泉文書」とは —朝日新聞社編集委員 藤田 直央氏が登壇
2023.11.08

本学法学部 岩本 誠吾教授が担当する「総合安全保障論」のゲストスピーカーとして、朝日新聞社編集員の藤田 直央氏が登壇しました。講義では、沖縄返還や裏で結ばれていた密約、そして日米交渉のキーパーソンであった若泉先生の人生について話されました。
藤田氏は『徹底検証 沖縄密約 新文書から浮かぶ実像』の著者であり、沖縄返還に関する取材を進める中で、核密約に関する文書、いわゆる「若泉文書」を発見することとなります。その文書を作成したのが、元京都産業大学教授そして、沖縄返還の日米交渉で佐藤 栄作首相の密使として活動していた若泉 敬先生です。

講義では、沖縄返還について話され、密約が交わされた1969年の日米首脳会談のシナリオを作り、密使としての活動を全うした若泉先生の人生を振り返りました。さらに昨年新たに得られたその手書きのシナリオや密約の英文草案などについても触れて説明されました。
藤田氏は、「若泉文書」を「公的な私文書」と表現しました。「日米両首脳による核密約がなければ表の沖縄返還合意もなかった。こういった文書の分析にはご存命の方に直接話を聞き、実情を探ることが欠かせません。皆さんはどのように考えますか」と学生に問いかけられました。講義終盤には学生から、「日本とアメリカにおける核密約の位置づけ」や「現代でこのような密約はありうるのか」といった鋭い質問が続きました。
記者としてご活躍されている藤田氏から、直接お話を聞くことができる大変貴重な機会となりました。
