生命科学部 木村 成介 教授らの研究グループが「虫こぶ」形成に関わる遺伝子を解明

生命科学部産業生命科学科の木村 成介 教授と京都府立大学の研究グループは、特定の昆虫が植物に形成する「虫こぶ」が作られる過程で働く遺伝子を解明しました。本研究成果は、2019年10月27日にPLOS ONEに掲載されました。

研究概要

虫こぶは、虫こぶ形成昆虫が植物に作る、食糧と住まいを兼ねた特殊な組織です。植物が通常作る葉や花、果実とは全く異なる形態になることから、虫こぶ形成昆虫が植物の発生システムをハイジャックして、自分に都合の良い組織を作り上げていると考えられますが、その分子メカニズムはよく分かっていませんでした。

京都産業大学と京都府立大学の共同研究チームは、種類の異なる4つの植物の虫こぶ(カンコノキハフクレフシ、ヒサカキハフクレフシ、ヨモギハエボシフシ、ヌルデミミフシ)で発現する遺伝子を網羅的に比較することで、虫こぶ形成に関わる遺伝子の同定を行いました。その結果、4つの虫こぶでは共通して光合成関連遺伝子の発現が下がり、代わりに器官発生に関わる遺伝子や、細胞分裂・植物ホルモン応答・リグニン化などに関わる遺伝子が高発現することが明らかになりました。虫こぶ形成昆虫は、植物側の遺伝子発現制御を大胆に変更しながら、虫こぶを形成していくことが示唆されました。

今回の結果から、異なる植物種の虫こぶで、共通した発生メカニズムがあることが示唆されました。さらに研究を深めることで、虫にならった植物組織の改変技術に繋がる可能性があります。

ヌルデシロアブラムシ(虫こぶ形成昆虫)がヌルデ(ウルス科ヌルデ属の植物)の葉に形成した虫こぶ。タンニンが多く含まれることから、お歯黒の材料として使われていました。

掲載論文

論文タイトル:Comparative transcriptome analysis of galls from four different host plants suggests the molecular mechanism of gall development
掲載誌:PLOS ONE 14, e0223686(2019)
DOI:10.1371/journal.pone.0223686
著者:Seiji Takeda, Makiko Yoza, Taisuke Amano, Issei Ohshima, Tomoko Hirano, Masa H. Sato, Tomoaki Sakamoto, Seisuke Kimura

謝辞

本研究は、私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「植物における生態進化発生学研究拠点の形成 −統合オミックス解析による展開−」および科研費(18H04787および18H04844)の支援を受けて実施しました。
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