法学部 坂東教授が参議院法務委員会にて参考人招致。民法改正:「18歳成人」について意見を述べました。

2018.06.07

6月7日(木)法学部 坂東 俊矢 教授が参議院法務委員会に参考人として招致され、成年年齢を18歳に引き下げること等を内容とする民法の一部を改正する法律案について、意見を述べました。

この民法改正法案は、成年年齢を現行の20歳から18歳に引き下げるとともに、女性の婚姻ができる年齢を現行の16歳から18歳に引き上げることで、男女とも18歳で婚姻ができることとする内容としています。

今までは、20歳で成年になるまでは、法定代理人(多くの場合は親)の同意がない契約は取り消すことができました。また、20歳までは、婚姻をするためには、両親のどちらか一方の同意が必要でした。

今回の改正法が成立することで、2022年4月1日からは、18歳以上であれば、契約も婚姻も自由にすることができることになります。18歳、19歳の間の契約の取消権がなくなることで、高校生や高校を卒業したばかりの若者が悪質業者に狙われることが懸念されています。

坂東教授は参考人意見として、以下のように述べました。

坂東教授のコメント~成年年齢の引下げは慎重に検討すべき

法学部 教授 坂東 俊矢
成年年齢をいくつにするかは、国民や社会が判断することです。
でも、成人はずっと20歳でした。まだ、18歳に引き下げることへの国民や社会の理解は進んでいません。18歳の高校3年生を「大人」として迎え入れる覚悟と準備がまだできていないのです。親の同意のない未成年者がした契約は取り消せます。この未成年者取消権は、若者の消費者被害を救済する役割を果たしています。

悪質な業者は18歳、19歳の若者を間違いなく狙います。
18歳や19歳の若者がクレジットカードを持ち、借金も自分の判断だけでできることになります。
それは本当にいい社会なのでしょうか。実は、未成年者でも、例えば小遣いや仕送りなどは親の同意がなくても自由に使えます。

小学生から高校生、そして大学生や社会人まで年齢に応じて、自由に契約ができる範囲と金額が広がっていくのです「徐々に大人になる」という民法の考え方は、国民と社会に受け入れられています。成年年齢の引下げは慎重に検討すべきです。

教員紹介: 坂東 俊矢 教授

6月13日 参議院本会議で賛成多数で可決

法案は、6月13日、参議院本会議で賛成多数で可決、成立しました。2022年4月1日から施行される予定です。

この改正で、例えば18歳であれば裁判を自分で起こすことができるなど、様々な法律に影響が及びます。一方で、飲酒や喫煙ができる年齢は20歳に据え置かれることになります。

いずれにしても、充実した法教育や消費者教育を若者に対して実施することの重要性が改めて認識されています。

なお、今回の参議院法務委員会の様子は、参議院のインターネット審議で見ることができます。
PAGE TOP