令和元年度 秋学期 公開授業&ワークショップ 実施報告

1. 法政策基礎リサーチ

1. 実施日時

  1. 公開授業:令和2年1月8日(水)13:00~16:30 ※5クラス合同
  2. ワークショップ:令和2年1月8日(水)16:30~16:40
    その後、メール上でも意見交換を実施

2. 実施場所

5号館2階各教室等

3. 科目名

法政策基礎リサーチ(担当教員:久保、芝田、焦、中井、朴)

4. 参加者数

  1. 公開授業:
    学生数 法政策基礎リサーチ受講1回生約150名
    SA約30名が参加
    教員6名
  2. ワークショップ:教員5名

5. 内容

(1)公開授業について[授業の概要]

  • 「法政策基礎リサーチ」は、2015年度に開講された科目で、法政策学科における初年次教 育であり、2018年度からは法政策学科の初年次導入科目として選択必修に位置づけを変 更されている。2回生科目の「フィールドリサーチ」に向けての準備的側面を持つ。法政策学科の初年次導入科目としての重要性から、その検証および今後の方向性を検討することも兼ねて今年度も実施することとした。
  • この授業は同一シラバスで5クラス開講がなされている。
  • 半年間のトレーニング(「アクションリサーチI」久保担当)を積んだSAがチーム(5〜9人)となって、各クラスに入っていることが大きな特徴である。
  • 授業内容については担当教員間ですりあわせをしているほか(但し、個別の内容やグループワークの形態などはクラスの規模などによって変えている)、SAも教育内容や教材づくりに積極的に関与して展開している(「アクションリサーチII」久保・芝田・焦・中井・朴担当)。
  • 「法政策基礎リサーチ」では、受講生に政策学の基礎を学ばせながら、グループワークによる政策提言を3回行わせることで、企画立案能力や班内で相談してまとめ、発表するコミュニケーション能力を習得させることを目的としている。
  • 公開授業の1月8日の合同ポスターセッションでは、5つのクラスが一堂に会して、ミニ発表と質疑応答を行った。

(2)ワークショップ[意見交換の内容等]

  • ポスターセッションは5号館の5教室において開催した。はじめての会場であったが、机・椅子の整理等、発表する場所の動線スペースの確保ができてスムースに展開できた。
  • グループ発表の精粗にはまだ差があるものの、構成・出典の明示などでは一定水準以上の発表となったものが大半を占めた。
  • 班内で発表する側と他のクラスのポスターを見て質問する側に分けて、2時限の間で12回の発表の機会(発表・質問の両方を合わせて)を与えている。この結果、12月に行ったクラス内発表では一部のコミュニケーション能力の高い学生が主として発表していたのに対して、全員がまがりなりにも発表の経験をし、各自のポジションで頑張ったことで、一定の自信を得たようだ。
  • 合同ポスターセッションになると他クラスの教員・学生に成果を確認されるので、やはり受講生も普段以上に気合いが入っており、成長できる機会になったと思う。
  • 運営も非常にスムーズにいき、何よりも当日SAさんたちの自主的に取り組む姿が見られてとても良かった。
  • 運営を担ったSAたちにとっても、貴重な経験になったようである。司会を務めたSAであれば、人前で話すことには慣れていても、200名近くも相手にしたのは初めてであったし、進行管理を務めたSAであれば、特殊なソフトを使って分単位で指示を次々と出して状況をコントロールするなど、自信をつける良い機会になったと思う。
  • 教員にとっては他のクラスの様子を知ることができたり、普段は接することがない学科の学生と交流することができたので、貴重な機会になった。
  • この科目の内容について、全員が1年次のうちには修得できないようなレベルの内容が、中にはあっても良いと思われる。優秀な学生がさらに勉強したくなるような仕掛けが必要である。
  • インターネットを使った情報収集をする班が多いが、どのような情報源のものであれば信頼できるかなどの調査の仕方に指導の余地がある。
  • SAが中心となってレクチャーをしている政策豆知識に関して、教員サイドがその内容とSAの理解を確実にする方法について、改善を進めていく必要がある。
  • ジャッジシートの項目を受講生たちに着実に理解させ、操作しやすいものにするために、改善の必要があると思われる。

2. 法教育演習Ⅰ

1. 実施日時

  1. 公開授業:令和元年12月20日(金)15:00~16:30
  2. ワークショップ:令和元年12月20日(金)16:45~18:00

2. 実施場所:

13号館3階13321教室

3. 科目名

法教育演習Ⅰ(金曜4限開講クラス、担当教員:増井、高畠)

4. 参加者数

  1. 公開授業:
    学生(受講者)18名、担当教員2名、教育支援研究開発センター職員1名、教員3名
  2. ワークショップ:
    教育支援研究開発センター職員1名、教員6名

5. 内容

(1)公開授業について[授業の概要]

  • 「法教育演習Ⅰ」は「プレップセミナー」に配属されるSAを育成することを主な目的にした、演習科目である。そのため、「プレップセミナー」について担当教員との協働の在り方、科目内容と受講生との関わり方などが当該科目の重要なテーマであり、あるべき「プレップセミナー」のかたちを考える課題解決型学習という側面を持つ。法学部におけるユニークな(SA育成、課題解決型の側面)授業であること、SA候補の受講生と法学部教員がより良い授業について考える機会となることが、本科目を公開授業に選定をした理由である。
  • この回のテーマは、「観察とポジティブ・フィードバック」であった。具体的には、①SA活動に含まれる観察とポジティブ・フィードバックの目的と方法、観察の対象として実施するアイスブレイク「ペーパータワー」の内容について担当教員により説明がなされた。②受講学生を4つのグループに分け、2グループはアイスブレイクを行い、残り2グループはアイスブレイクを行っている受講生を観察した。観察に際しては、個々の受講生の具体的な行動と自身の意見をメモした。③アイスブレイク終了後、観察グループの受講生は、自身のメモをもとにポジティブ・フィードバックを行った。④アイスブレイクと観察のグループを入れ替え、②③を繰り返した。⑤最後に、全体での振り返り(参観教員からのコメントを含む)を行った。

(2)ワークショップについて[意見交換の内容等]

  • まず担当教員より、今回の公開授業において実施した内容は、ファシリテーション演習として実施する最後の3回の授業のうちの1回との位置づけであるが、そこでの目的はファシリテーションのスキルの修得というより、その心構えを身につけ、実際の練習を行う、というものであるとの説明があった。これを受けての意見交換は多岐にわたったが、主として以下の各点が挙げられる。
  • SAとなる学生の能力・適性等には個人差があり、ファシリテーションが得意でない学生もいる。そのようなSAには、主として提出課題の添削やコメント付与などを任せることになるが、この点については「プレップセミナー」の各担当教員の方針によるところが大きい。SAはパッケージコースの内容については把握しており、また、SAは観察レポートや直接口頭で担当教員に連絡してくるので、それらをもとにSAに任せる内容の摺り合わせを行う必要があろう。
  • 入学直後の1年次生は学習に対して概して受け身であるが、そこからSAになろうとするというのは「能動的になる」ということであるから、ものの見方や関わり方を180度変えないといけないことを意味する。本科目の受講により、それまでの「プレップセミナー」受講者として「SAにいろいろとやってもらってうれしい」という気持ちから、「SAとしていろいろとやらなければならない」という意識への変化を促すことになるが、そのためには教員としてはなるべく学生からの意見を拾う姿勢を取る必要がある。
  • 法学部では学生にこういうことを身につけておいてほしい、ということを、教員間においてどのように共有するのか。「プレップセミナー」や本科目にはそのような機能があるはずである。また、「プレップセミナー」の内容を把握していると1年次秋学期開講の「ファンダメンタル・セミナー」でも指導しやすく、そこで「プレップセミナー」で身につけかけた作法・型を少しでも扱ってくれるとその先の学習に役立つはずである。他方、「プレップセミナー」は(それがうまく機能すればするほど)担当教員にとって心理的ハードル・負担感が高くなっている。また開講時限等といった他の困難な課題も存在する。
  • 参加者からは、上級生が下級生の学びにかかわる全学的な授業の紹介があった。SAが配属されることで1年次生が学びやすくなるだけでなく、SAとなる2年次生以上の学生にとっても主体的に学ぶ機会となるため、SAの役割や魅力を積極的に学生に周知することが重要である。
  • 今後の課題としては、SAの候補となる学生の確保の問題がある。「法教育演習Ⅱ」においては、1限の「プレップセミナー」において知らない担当教員と20数名の1年次生を前にSAを担当することとなるので、それなりにハードルが高く、その自信がない学生が残らない傾向がある。他方、SAを希望する学生が増えれば「法教育演習Ⅰ」のクラス数も担当教員も増やすことが可能となり、SAの養成数の確保にとっても教員間の情報共有にとっても望ましいと思われる。また、SAの効果を十分に発揮するには、SAと担当教員間のコミュニケーションが重要となる。そこで次年度は、アイスブレイクが得意、あるいは課題の添削が得意等のSAの特徴を事前にプレップセミナーの担当教員にお伝えし、SAと担当教員がコミュニケーションをとりやすくするようにしたい。

3.まとめ

[活動の効果を高めるための今後の方策など]

  • ワークショップでは、公開授業の対象となる授業の選定理由について、昨年と同様に質問があった。法学部内の実験的授業形態としての検証の意味から、ここ数年同じ授業としている。今後の対象については、FD委員会内でも議論していきたい。
  • 教員間での情報共有は重要であるので、公開授業やワークショップ等には多くの教員に来ていただきたい。教授会等で開催日時を告知し参加を促すとともに、学部内の各種会議などの機会をとらえて、ワークショップでの議論を紹介するなどの形で、少しずつでも授業改善の試みを情報共有し、意見交換を重ねることが必要であろう。
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