平成28年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

  • 「プレップセミナー」「AL科目」の両方において昨年度に引き続き、1回あたりの準備学習が1時間を越えているとした回答者が半数以上であり(プレップ55%程度、AL60%程度)、主体的に学習したと解答した者も、プレップで60%程度、ALで75%程度と、引き続き多い。法学部では昨年27年度からAL重視のカリキュラム改革を行った。(プレップ以外の)AL科目では、1時間以上の準備学習を行うと答えた者が昨年度より5ポイントほど上昇しており、主体的な学習態度の形成を促すという所期の目的をある程度達成し、その定着しつつあると評価できる。
  • 「プレップセミナー」では、「学びの面白さを感じた」「主体的に学習した」「科目に満足している」のそれぞれの項目について、「強くそう思う」「そう思う」合計の回答率が昨年と比べてわずかではあるが増えている。
  • 「成長の実感」については、学部の全科目平均よりも「AL科目」でスコアが良い。AL重点化の方向性を、今後も進めていくべきだと思われる。
  • 「プレップセミナー(1年次春学期)」の受講生に聞いた項目、「法学部の学びについてのイメージを持つことができた」と「自分の将来について考える機会を持つことができた」について、「強くそう思う」「そう思う」と答えた者が前者については昨年度と変わらなかったものの、後者については5ポイントほど昨年度よりも減少している。学部生時代の見通しとその後のキャリアパスとを結びつけて考える機会をもつことができるよう、引き続き改善を検討したい。
  • 秋学期調査での講義科目(のみ)においては、「科目での学びに面白さを感じた」、「この科目に満足している」と回答した受講生が6割超(出席率80%以上では7割)を占めているのに対して、「自らの成長を実感することができた」とする者と「主体的に学習した」とする者はそれよりも低い。ただし、「成長実感」について昨年度調査と比べると、全体が46%→48%、出席率80%以上では50%→55%となっているし、「主体的な学習」についても、全体で35%→40%、出席率80%以上で39%→47%となっており、スコアは軒並み2~8ポイントの改善が見られる。AL科目充実化の効果が、(新カリキュラムの)学年進行とともに出てきつつあるのかもしれない。AL科目の講義科目への波及効果をにらみつつ、なお改善の余地もあると思われる。

2. 「公開授業&ワークショップ」についての報告 

(1)参加人数

  1. 「公開授業」:「法政策基礎リサーチ」のべ14名、「法教育演習I」10名
  2. 「ワークショップ」:「法政策基礎リサーチ」5名、「法教育演習I」7名

(2)ワークショップでの意見交換内容

  • 「法政策基礎リサーチ」についてのワークショップ:この科目は初年次アクティブ・ラーニング科目であり、とくに1回生のうちに学習に向けた積極的な態度形成について、非常に効果があると思われる。引き続き、教員とSAとの協働を通じた、レクチャーとグループワークの組み合わせによる授業展開について、理解度の遅れている層の引き上げなどを含めて、改善を図りたいということが意見交換された。
  • 「法教育演習I」についてのワークショップ:授業参観者もアイスブレイキングや観察ワークに参加したことで、受講生を観察・フィードバックする際に気をつけるべき点などについて考えることができた。今後の展開として、先輩SAが後輩SAの育成にも関わるような、学生同士で伝え合い、学び合う仕組みを作っていきたい。
  • 2回のワークショップに共通の部分:2つの科目はともにSAが参画している点が共通した特徴である。SAの参画を通した授業改善についての建設的な議論が多く、学部における初年次教育やアクティブ・ラーニング科目のあり方を考える有意義な機会となった。

(3)法学部での独自の取り組み

3. 総括

(1)1. と2. において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

  • 「プレップセミナー」を含めて、AL科目においては、主体的な学習態度や学習習慣のスコアが良い。さらに、成長の実感についても同様の傾向が見られる。AL重点化の方向性を、今後も進めていくべきだと思われる。
  • 「プレップセミナー」と「法政策基礎リサーチ」は、ともにSAが参画するAL科目である。SAは受講生に対する支援だけでなく、授業改善についてもSAの参画は有用であると思われる。こうした取り組みは、引き続き改善を進めていくべきであろう。
  • 「講義科目」においても、「科目での学びに面白さを感じた」「この科目に満足している」についての受講生評価と、「自らの成長を実感することができた」「主体的に学習した」とする受講生の自己評価とのギャップは小さくなりつつある。AL科目の波及効果が学習態度の改善という形で観察されているのかもしれない。

(2)1. と2. において確認された改善すべき点

  • 講義科目における、「科目での学びに面白さを感じた」「この科目に満足している」についての受講生評価と、「自らの成長を実感することができた」「主体的に学習した」とする受講生の自己評価とのギャップについては、昨年度より改善しているが、引き続き改善の余地もあると思われる。

4. 次年度に向けての取り組み

  • 昨年度から導入したカリキュラムにおける方向性であるAL科目充実化を通じて、学生がより主体的・意欲的に、法学部の科目に取り組むことができるようすることを目指す。そのため、AL科目についてその教育効果を継続的に把握していく。具体的には、引き続き春学期には「プレップセミナー」を中心に、秋学期には(主体的な学習ができるようになっているかについて知るために)「講義科目」を中心に、調査を行って基礎的なデータの収集をしていく。これらのデータは、再来年度から実施予定の「コース制」の改善にも活かしていくことにしたい。
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