【文化学部】清少納言に思いを馳せて-『枕草子』の舞台 伏見稲荷大社でフィールドワーク実習-

2021.12.07

学生に解説を行う雲岡准教授
幻想的な雰囲気が漂う大社内

文化学部の専門教育科目「京都文化基礎演習B(文化学部 雲岡 梓 准教授)」の授業でフィールドワークが行われました。
このフィールドワークの目的は、古典文学の作品中に登場する物語の舞台に赴くことで作品をより深く解釈することです。今回学生たちは、平安文学の『枕草子』に登場する伏見稲荷大社を訪れ、雲岡准教授の解説を受けながら探索を行いました。

この記事では、雲岡准教授の解説の一部や学生たちの様子をレポートします。

(学生ライター 外国語学部3年次 福崎 真子)

『枕草子』に登場する伏見稲荷

『枕草子(まくらのそうし)』とは、平安時代中期に清少納言が執筆したといわれている随筆です。作品の中で清少納言は、山や植物などの自然や当時仕えていた宮中での出来事を独自の視点で表現しています。「春はあけぼの」という一節に聞き覚えがある人も多いのではないでしょうか。

作中の152章段『うらやましげなるもの』には、清少納言が伏見稲荷参詣をしたときの出来事が書かれています。清少納言は、「中の御社」という神蹟(しんせき)(神が宿っていた場所)へ向かう途中に疲れて休憩していたところ、参詣を1日に7回も繰り返すような元気な女性に出会い「うらやましい」と感想を抱きます。

学生「清少納言の“疲れ”を体感」

フィールドワークでは学生たちが実際に「中の御社」があったと推定される場所を訪れましたが、到着には無数の石段を登る必要があり、少々息の上がった様子でした。

雲岡准教授は「平安時代の女性はほとんど外出せず自分の足で歩かないというイメージがあるかと思いますが、清少納言のような中流階級以下の身分の女性たちは、伏見稲荷参詣のために山に登るなど、活発に出歩くことがあった」と解説されました。

現在の伏見稲荷は参道がしっかり舗装され歩きやすくなっていますが、清少納言が登った当時はそのような整備がされていませんでした。学生たちは参道を歩きながら「当時はもっと大変だったに違いない」と、清少納言の気持ちに思いを馳せていたようでした。

学生たちは稲荷山の最高峰である「一の峰(上之社神蹟)」や「清滝」などを訪れながら、大社内のほぼ全域を巡りました。
また、学生たちが楽しんでいたのは「おもかる石」が祭られた場所でした。「おもかる石」とは、持ち上げたときに体感する重さによって占いができる石のことで、伏見稲荷大社の境内では有名な観光スポットとなっています。

おもかる石を持ち上げる学生 思ったより重かったそうです
境内の参道を進む学生

まとめ

今回のフィールドワークは京都にある大学だからこそできる貴重な機会でしたが、私も同行することによって、数多くの知見を得ることができてうれしかったです。歴史で語られている地に実際に訪れて自分の脚で踏みしめることが、より深い学びにつながると強く実感しました。学生たちがこの機会を存分に勉学に生かせるよう願っています。

過去の記事(鞍馬・貴船でのフィールドワークの様子)

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