【生命科学部】バイオフォーラムを開催しました!(2月7日)
2025.02.13
2月7日に、近畿大学のトクマコフ アレクサンデル博士をゲストスピーカーとしてお迎えし、「Postovulatory cell death – the two faces of ooptosis」という演題でバイオフォーラムを開催しました。
本学生命科学部の教職員および学生に加え、摂南大学理工学部生命科学科の教員・学生も多数参加し、合計31人が出席しました。
本セミナーでは、未受精卵の細胞死に関する最新の研究成果が発表されました。多くの動物において、成熟した受精可能な卵は、第二減数分裂中期で成熟促進因子(MPF)および細胞分裂抑制因子(CSF)の高い活性により受精前に停止します。この減数分裂中期の停止は、細胞周期の進行や単為発生を防ぐ重要なメカニズムです。しかし、長期間受精しない卵は加齢によるダメージを受け、受精率の低下、多精受精、異常発生の原因となります。さらに、異なる種の卵が受精しない場合、アポトーシスによって死滅することが知られています。近年、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の未受精卵の運命を調査した結果、2つの異なる細胞死メカニズムが明らかになりました。この現象をわたしたちは「ooptosis」と名付けています。未受精のカエル卵において、カスパーゼ依存的アポトーシスが主要な細胞死メカニズムであることが示されましたが、カルシウム依存的な非アポトーシス的壊死様のプロセスも存在することが確認されました。特に、これらの細胞死は、卵の自発的または人工的な活性化、MPF/CSFの不活性化、第二減数分裂中期停止からの脱出後に発現することが判明しました。本研究の重要なポイントとして、卵の活性化の程度がアポトーシスまたは壊死の細胞死メカニズムを決定することが挙げられます。さらに、カエルの生殖管内に留まった卵の観察結果が、ooptosisの生理学的意義を示唆する手がかりとなる可能性があります。これまでの哺乳類を含む様々な種における研究では、排卵後の卵の細胞死の種類を明確に区別していませんでした。しかし、これら2つのプロセスを区別することは、個体の恒常性への影響を評価する上で重要であると考えられます。
講演後の質疑応答では、未受精卵の加齢による変化が受精成功率にどのように影響するか、また哺乳類の卵における細胞死のメカニズムとの比較について活発な議論が交わされました。特に、カエルと哺乳類の卵の細胞死の違いが、再生医療や生殖医療の分野でどのように応用される可能性があるかについて、多くの関心が寄せられました。
本セミナーは、未受精卵の細胞死に関する最新の知見を共有する貴重な機会となりました。参加者からは「新しい細胞死の概念であるooptosisが非常に興味深い」「生命科学における基礎研究の重要性を再認識した」といった感想が寄せられました。今後もこのような最先端の研究を紹介し、学際的な視点から議論を深める場を提供していきたいと考えています。
本学生命科学部の教職員および学生に加え、摂南大学理工学部生命科学科の教員・学生も多数参加し、合計31人が出席しました。
本セミナーでは、未受精卵の細胞死に関する最新の研究成果が発表されました。多くの動物において、成熟した受精可能な卵は、第二減数分裂中期で成熟促進因子(MPF)および細胞分裂抑制因子(CSF)の高い活性により受精前に停止します。この減数分裂中期の停止は、細胞周期の進行や単為発生を防ぐ重要なメカニズムです。しかし、長期間受精しない卵は加齢によるダメージを受け、受精率の低下、多精受精、異常発生の原因となります。さらに、異なる種の卵が受精しない場合、アポトーシスによって死滅することが知られています。近年、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の未受精卵の運命を調査した結果、2つの異なる細胞死メカニズムが明らかになりました。この現象をわたしたちは「ooptosis」と名付けています。未受精のカエル卵において、カスパーゼ依存的アポトーシスが主要な細胞死メカニズムであることが示されましたが、カルシウム依存的な非アポトーシス的壊死様のプロセスも存在することが確認されました。特に、これらの細胞死は、卵の自発的または人工的な活性化、MPF/CSFの不活性化、第二減数分裂中期停止からの脱出後に発現することが判明しました。本研究の重要なポイントとして、卵の活性化の程度がアポトーシスまたは壊死の細胞死メカニズムを決定することが挙げられます。さらに、カエルの生殖管内に留まった卵の観察結果が、ooptosisの生理学的意義を示唆する手がかりとなる可能性があります。これまでの哺乳類を含む様々な種における研究では、排卵後の卵の細胞死の種類を明確に区別していませんでした。しかし、これら2つのプロセスを区別することは、個体の恒常性への影響を評価する上で重要であると考えられます。
講演後の質疑応答では、未受精卵の加齢による変化が受精成功率にどのように影響するか、また哺乳類の卵における細胞死のメカニズムとの比較について活発な議論が交わされました。特に、カエルと哺乳類の卵の細胞死の違いが、再生医療や生殖医療の分野でどのように応用される可能性があるかについて、多くの関心が寄せられました。
本セミナーは、未受精卵の細胞死に関する最新の知見を共有する貴重な機会となりました。参加者からは「新しい細胞死の概念であるooptosisが非常に興味深い」「生命科学における基礎研究の重要性を再認識した」といった感想が寄せられました。今後もこのような最先端の研究を紹介し、学際的な視点から議論を深める場を提供していきたいと考えています。

