【生命科学部】「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」を開催
2024.08.26
“藻の平泳ぎが人類を救う?
—緑藻クラミドモナスのゾンビ実験と走光性お絵かき—”
8月3日(土)に「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」という事業によるプログラム「藻の平泳ぎが人類を救う?—緑藻クラミドモナスのゾンビ実験と走光性お絵かき—」を開催しました。この事業は、日本学術振興会が科学研究費助成事業の支援により生まれた研究成果の社会還元や普及推進を目的に行うものです。
当日は、生命科学部 若林 憲一 教授が講師となり、若林研究室に所属する生命科学部4年次生の4人がアシスタントを担当しました。参加した高校生8人は講義や実験等を通じ、大学の研究を体感しました。
「動くこと」は生物の大きな特徴の1つです。「動く物」と書く動物はもちろんのこと、「動かない」と思われている植物も、その細胞の中では、たとえば原形質流動のような、活発な運動が見られます。生体運動・行動は、古くから生物学者を惹きつけてきた研究対象の1つです。細胞に核を持つ生物の仲間である真核生物の場合、生体運動は、アクチン繊維の関与するもの(筋肉の収縮、植物細胞の原形質流動、アメーバ運動など)と、微小管の関与するもの(鞭毛・繊毛運動、細胞内の小胞輸送、姉妹染色体の分離など)の2つに大きく分けられます。
そして、生物は、その運動機能を利用して、環境情報の変化に応じて、多様な行動を示します。代表的な行動の1つに走性(そうせい)があります。光の方向に向かって動く「正の走光性」や、光から逃げる「負の走光性」、特定の化学物質に寄っていく「正の走化性」、重力に逆らって水中で上に向かって泳ぐ「負の走地性」など、さまざまな走性が知られています。
今回のプログラムの前半では、微小管系の代表として鞭毛(繊毛)運動を扱いました。鞭毛研究のモデル生物である藻類の一種、クラミドモナスは、2本の鞭毛を平泳ぎのように動かして水中を泳ぎ回ります。その鞭毛運動がATP によって駆動されていることを実験によって確認しました。
プログラムの後半では、クラミドモナスが示す、走光性などの「光反応行動」を観察し、「光反応行動」を利用したちょっとした遊びを行いました。
プログラム終了後、参加者には若林教授から修了証書が授与されました。参加者からは、「科学分野の知見、興味が広がった」「理論、観察、実験をもとに関係性を見つけ出し、理論を解明することは生命科学の研究の面白さであると思った」「まだまだ残されている生物の謎を解き明かす研究に携われる日が待ち遠しい」等の声が寄せられました。
※本プログラムは、JSPS科研費 JP24HT0142の助成を受けたものです。