【国際関係学部】「国際ビジネス論Ⅰ」でTCI研究所西堀氏から伝統産業の海外展開について学びました!

2024.06.13

5月31日(金)、国際関係学部の展開科目「国際ビジネス論Ⅰ」(担当:植原 行洋教授)において、特別講義が開催されました。本講義では、TCI研究所西堀耕太郎氏をお招きして、伝統産業の海外展開について講演していただきました。

(学生ライター 国際関係学部4年次 松宮 来瞳)


前半では、優秀プレゼンとして選定された3グループから、伝統工芸品の海外事業提案についての発表がありました。
1つ目のグループでは、「辻商店の懐紙×マレーシア」の提案を行なっていました。4P分析では、「懐紙を身近なものに」と現地の伝統模様との融合を図った贈答品包装紙についてのローカライズ戦略が特徴的でした。

2つ目のグループでは、アメリカのGreeting card文化と懐紙の「包む」「書く」という機能を合わせた提案を行なっていました。発表学生の海外フィールドリサーチの経験を基につくられた独創的なアイデアが印象的でした。
最後のグループでは、冨田工藝の技術とアニメ・漫画文化をコラボレーションさせた木製アクションフィギュアの提案を行なっていました。SWOT分析では、従来のプラスチック製のフィギュアと木製のフィギュアを比較し木製でしか出せない躍動感や環境に優しい素材などを武器に差別化を図り、プレミアム化を行うマーケティング戦略が興味深かったです。

それぞれのグループの発表に対し、西堀氏と植原教授から講評をいただきました。「若い世代ならではのアイデア、マーケティング戦略などの着眼点が面白い」「購買意欲のある市場に目をつけたのが良かった」という高い評価の一方で、「伝統工芸品は大量生産ができないという特性があるため、値段設定・販売場所に注意すべき」「日本の伝統工芸品の技術による強みが生かされていない」というご指摘をいただき、適切なターゲット選定やプロモーション方法を構築するためには、伝統産業の特徴を理解することが重要だということを改めて学ぶことができました。

後半では、西堀氏の伝統産業の中小企業の海外戦略について、自身が経営する日吉屋の和傘を例にお話しされました。日吉屋は江戸時代創業の160年続く、京都市内唯一の京和傘会社です。現在では、京和傘の技術を生かし、インテリア照明からファッションなど幅広い分野で国内外のデザイナーやアーティストとコラボレーションを行い、伝統工芸品の海外展開を行なっています。伝統工芸品の生産量が減少・縮小していく日本市場の中で、生き残るためには、新たな市場での収益獲得を狙うグローバルニッチ戦略が重要だとおっしゃっていました。そのためには、既成観念は囚われず可能性を追求すること、「良いものを作る」だけでなく「良いものを知ってもらう」ために自社の強みとユニークさを共感できるストーリーと共に伝えるというブランド構築が必要不可欠です。また、「機能的」な価値ではなく「美しい」という情緒的価値を生かし、アート性の高い商品作りにすることで、伝統産業の高付加価値化につながるということもグローバルニッチ戦略の一つであると学びました。

講義を通じて、「新たな伝統を創造するためにイノベーションを起こすことが重要」というお話が強く印象に残りました。社会に出ても、固定観念に囚われないで、多角的な視点を持ち新たな発見や学びに繋げられるようなグローバル人材になりたいと思わせてくれた講義でした。

西堀氏による講演の様子
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