総合生命科学部 4年次 藤本 恵里奈さんの論文が日本昆虫学会誌に掲載されました

個体の発見から68年、初めてノサップマルハナバチの野生巣を発見・保全に貢献

ノサップマルハナバチは、根室半島と野付半島にのみ分布しているマルハナバチです。絶滅が危惧されているため、環境省レッドリスト2020の準絶滅危惧種、北海道レッドリスト2001の希少種に指定されています。1953年に北海道大学・東京都立大学のグループにより、根室半島の歯舞で個体が発見されましたが、分布域が限られていることや、個体数が少ないため、これまで生態情報が不足していました。
京都産業大学 総合生命科学部の高橋 純一准教授らは、根室半島で20年間にわたり本種を含めたマルハナバチの調査を進めています。2021年夏に総合生命科学部4年生の藤本 恵里奈さんが、根室半島ノサップ岬の草地でノサップマルハナバチの調査中に本種の野生巣を初めて発見しました。藤本さんは、発見から68年にわたり不明であった本種の営巣生態に関する調査結果を論文としてまとめたところ、日本昆虫学会誌に、関連する調査結果が科学雑誌「昆虫と自然」にも掲載されました。また、2022年3月25日付の北海道新聞の社会面およびデジタル版で紹介されました。

指導教官のコメント

ノサップマルハナバチは、絶滅が危惧されていて、保全には営巣生態の情報が必要でした。今回、藤本さんが発見した野生の巣からは、多くの新知見を得ることができました。私を含めてこれまで多くの研究者が、長年にわたりノサップマルハナバチの調査をしてきましたが、野生巣を見つけることができませんでした。藤本さんは、研究室に分属してから卒業研究を熱心に調査を進めてきたことが、この結果につながったのだと思います。研究成果は、本種の保全にむけて多くの有用な情報を提供してくれることが期待されます。
ノサップマルハナバチ
藤本さんが根室半島で調査をしている様子(左)と発見した野生巣(右)

論文情報

タイトル 根室半島で見つかったノサップマルハナバチの成熟期の巣について
掲載誌 昆蟲,第25巻1号9-13ページ.(出版社:日本昆虫学会)
掲載日 2022年3月25日
著者 藤本 恵里奈, 今野 英生, 高橋 純一
DOI J-STAGE 昆蟲.ニューシリーズ 25巻 (2022) 1号
タイトル 絶滅が危惧されているノサップマルハナバチ
掲載誌 昆虫と自然
掲載日 2021年56巻12号38-41ページ
著者 藤本恵里奈・高橋純一
出版社 ニュー・サイエンス社

メディア掲載

タイトル 希少ハチの営巣確認 京産大グループ 納沙布岬、保全・増殖に道
掲載誌 北海道新聞
掲載日 2022年3月25日 第4社会面30 デジタル版:科学・環境

研究支援

 本研究は、農林水産省 農林水産研究推進事業委託プロジェクト研究(農業における花粉媒介昆虫等の積極的利活用技術)の支援により行われました。
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