【経済学部】地域づくり人特別講義(2)「観光が“かやぶき”の概念を変えた」

2022.05.12

美山ふるさと株式会社常務取締役、(一社)南丹市美山観光まちづくり協会(美山DMO)顧問 高御堂 厚氏

経済学部の専門教育科目「地域づくり人特別講義」は、受講生が「地域づくり」について多面的に考察する能力を身に付けることを目的に開講している科目です。地域づくりのキーパーソンを講師として招聘し、その地域が抱える課題、取組みの経緯・苦労・成果など、そして地域づくりの現場から見た日本社会について、それぞれの視点からお話しいただきます。

4月26日の授業では、美山ふるさと株式会社常務取締役および一般社団法人南丹市美山観光まちづくり協会(美山DMO)顧問の高御堂(たかみどう) 厚氏をお招きし、日本一の田舎づくり「美山」についてお話を伺いました。

(学生ライター 経済学部4年次 木下 真菜 )

高御堂氏は、美山出身というわけではなく、勉学のためアメリカに2年間滞在され帰国後、日本で環境教育のフィールドを探し求めて美山に移住されました。
南丹市美山町は、京都府の中央に位置しており、京阪神各方面から車を使い2時間前後でアクセス可能な地域です。「森の京都」と呼ばれているこの地域には、秋に黄葉する京都大学芦生研究林の京都丹波高原国定公園や、平成5年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され春夏秋冬違う顔を見せる「かやぶきの里」があります。自然豊かな美山は、令和3年12月に国連世界観光機関(UNWTO)が選定する世界で44の村「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」に選ばれました。

夏の美山の風景(美山町観光情報サイト 美山ナビより)

高御堂氏は、美山が誇る日本一の田舎とは、住んでいる地域に愛着や誇りをもち、豊かな自然と共存し、田畑や山林を活かし、お互いが支え合う社会に喜びを感じることができるといった、経済的にも精神的にも「自立したまち」のことであると語られました。また、80歳前後の地元民には「かやぶきは貧乏な地域の象徴」だと思う方が多かったため、“地域の人に自信を持って住んでほしいと思った”と高御堂氏。この想いも込め、観光という手段で美山を盛り上げられてこられました。

観光への取り組みに当初から美山町は積極的で、平成元年に都市交流を開始し、合併後の平成22年には南丹市美山エコツーリズム推進協議会を設立。平成28年に一般社団法人南丹市美山観光まちづくり協会を設立し、平成30年にはそれをDMO法人化することになります。美山での観光課題に対しては、昔から“やってみたらいいよ”ということは何でも率先して実践してきたとのことです。また、お話からは、「伝統的な暮らしも、そこに住まう人々・地域が元気であってこその観光」という前提をまち全体で皆さんが認識されている様相がうかがえ、“地域全体で儲けよう”という考えが一貫していることを感じられました。

高御堂氏は、受講生へ講義全体を通して、地域の人による観光振興がどれほどの力を持っているのか、また、共生と感謝そして郷土愛と行動力の重要性について伝えられました。自然との共生、感謝の心、平等の精神などの農村文化を大切にしつつ、まちの活性化のために権限・財源・役割・人材を上手く各所が分担することで、経済的にも環境的にも社会的にも、そして何よりも美山に住む方々、地域コミュニティにとって良い持続可能な観光をこれからもつくりあげていきたいと述べられました。

受講生からの質問に答える高御堂氏
今回の取材を通して、高御堂氏の“美山町の人が良いんです”という言葉が印象に残りました。田舎だからとマイナスに考えるのではなく、田舎だからこそあるもの・できることを探すというプラスの思考で、観光課題で低迷したとしても、農村文化の特徴である「協働の精神」によって、商圏を広げる6次産業化をみんなで頑張る気持ちがとても素敵で魅力的でした。また受講していて、高御堂氏から美山町への愛をたくさん感じ、こんなにも魅了されてしまう「まち」はどんな所なのだろうかと、もっと美山町を知りたくなりました。私も美山町という地に足を運び、自然を、人を感じたいです。
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