令和2年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「中間報告書」

「学習成果実感調査」についての分析結果

2019年度春学期の学習成果実感調査では、「1回の授業あたりの準備学習の平均時間数」が1時間半を超える学生数の割合の学部平均値が36%となり、学部全体としてそれまでの数年間におけるレベルを大幅に上回ることが明らかとなった(2015および2018年度の数値を単純に学部全体の数値に変換すると、それぞれ9.1%、22.0%であった)。今回の2020年度春学期の調査結果では、この値が全回答を母集団とした場合、および出席率80%以上の学生による回答を母集団とした場合のいずれにおいても80%超となった。この劇的な上昇の理由には、すべての授業科目がオンライン環境下でおこなわれた中、その多くの科目が課題やレポートなどによって例年より多くの授業時間外学習を求めるものであったことが考えられる。「学びの面白さ」「スキルアップ、成長」「総合的な満足度」の三項目での実感調査結果からは、いずれにおいても80%超の学生が「強くそう思う」あるいは「そう思う」と回答していることがわかった。このことは、授業時間外での準備学習の増加が学生の学習実感を損なうことなく、むしろ前向きなもの、肯定的なものにするしかけとなっていることが示唆される。ただしその一方で、春学期の中盤から後半にかけて、一部の学生から課題量の軽減を求める声が上がるなど、オンライン授業環境下での適正な授業運営のあり方について、たとえば「1科目あたりの授業時間外学習時間がほとんどの学生において週あたり1時間以上となる状況設定(課題の提示などによる)は、教員のみならず学生の立場からも見たトータルな視点に照らして適切な学習環境と言えるのか」など、慎重な検討が引き続き必要と思われる。
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