生命科学部 生命科学セミナー開催(11月29日)

生命科学・タンパク質動態研究所 合同セミナー

高田 啓 博士 (Umeå University, Sweden)

翻訳装置をターゲットとする抗生物質から いかにしてバクテリアは生き残るのか?

抗生物質は臨床の現場に限らず、農業・漁業など第一次産業においても汎用されてきており、この恩恵を受け、人類の生活水準は飛躍的に向上してきた。一方で、乱用による耐性菌の出現など、近年ではこれら問題が顕著化してきており、抗生物質の詳細な作用機構の理解とその抗生物質から如何にしてバクテリアは生き残るのか、その生存戦略の理解が急務である。抗生物質の大半は翻訳装置であるリボソームを標的とする天然化合物に由来し、土壌微生物の放線菌によって生産される。近年、自身のリボソームを守るため放線菌が保持する自己耐性遺伝子(ABC-Fタンパク質)が、非生産菌である多くのバクテリアで保存されていることがわかってきた。これらの因子は膜貫通ドメインをもたず、他の膜タンパク質と共役して働くことで、抗生物質の排出に寄与していると考えられてきたが、その詳細な作用メカニズムは不明であった。 我々は、グラム陽性菌である枯草菌を用いてABC-Fタンパク質(VmlR)による抗生物質耐性機構の解明を目的に、遺伝学的・生化学的な解析を行い、VmlRがリボソームに直接結合することで抗生物質耐性に寄与していることを明らかとした。本発表では、VmlRが如何にして抗生物質耐性に寄与しているか、その分子メカニズムに関して紹介できればと思う。
日時 2019年11月29日(金)16:00 ~17:00
場所 京都産業大学 15号館1階15102セミナー室
交通 ※キャンパス内に駐車場はありません。公共交通機関をご利用ください。
交通アクセス
備考 事前申込不要・入場無料
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