京都産業大学 キャンパスマガジン サギタリウス VOL.48
Portrait
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京人形をはじめとする、熟練の伝統工芸を受け継ぐ。
雛人形、五月人形、京人形をはじめ、和雑貨、季節の小物など四季折々の工芸品を幅広く取り扱う福田人形店。1938年に福田さんの父・眞三郎氏により創業され、現在に至るまで熟練の伝統工芸士により丹精込めて手がけられた、他ではまねのできない逸品を作り続けている。「子どもの頃から人形に囲まれた生活を送り、自然と人形に興味を持つようになりました。商売のいろはや人形に対する情熱など、父からはいろんなことを学びましたね」。先代は全国の人形業界および地元の京人形業界の発展に尽力し、1975年には当時の内閣総理大臣三木武夫より「勲五等瑞宝章」が送られる。「この初代の人形に対する心をしっかりと引き継ぎ、今後も世界に誇れる京人形の伝統を大切にするとともに、現代人が求める感性を融合させたオリジナリティのある人形を作っていくことが目標です」。
職人のネットワークを生かし、人形をよみがえらせる!?
3年前に人形修理に特化した事業を立ち上げ、そのときに福田さんが主宰となり、結成されたのが人形修理職人ネットワーク「福田匠庵」だ。「京人形には頭師、髪付師、手足師、小道具師、着付け師など、パーツごとに分業化された専門職人たちの熟練の技が生かされています。そこで、これまでの人脈を生かしてそれらの職人に声をかけ、さまざまな修理のケースに対応できる職人集団を作りました」。すぐさま大きな反響があり、関西圏はもとより、日本各地から修理の依頼を受ける。古いものでは江戸後期の人形もあり、貴重なコレクションの修復をこれまでに多数手がけてきた。「そこで昔の職人さんの技に触れることは、我々にとっても大きな喜びであり、いい勉強にもなっています。人形修理を通じて、その伝統を受け継ぎ、未来に残していかなければいけないという気持ちも、より強いものになりました」。
京産大の第1期生。仲間の存在が大きな財産に。
京産大の第1期生として、1965年に経済学部に入学。「大学ができたばかりで、キャンパス内にはこれから新しいものを作っていくという、元気で明るい雰囲気があふれていました」。学生時代の思い出を聞くと、「とにかく、仲間とよく遊んでいました(笑)」と福田さん。ゴルフの同好会を作ったり、当時は車での通学が多く、中古で買った車で友達と一緒に学校までの坂道を登ったのもいい思い出だ。「プライベートではもちろん、卒業後に仕事でつながることがあったり、仲間との出会いは大きな財産になっていますね。職人の世界は特にそうですが、何かひとつのことを身に付ければそれが大きな強みとなります。学生のうちから自分が好きなもの、打ち込めるものを見つけ、めいっぱい取り組んでみてください」。
2007年秋、京都府の呼びかけにより工芸職人の技術バンクとして「京都伝統産業協働バンク」がスタートしました。その中から、大切な工芸品のお直しを専門に受けようと結成したグループが「京都職人修理ネット」で、福田さんは現在同グループの副代表を担当。月1回、京都試作センター(京都市下京区)での相談会をはじめ、さまざまな活動に取り組んでいます。
【HPアドレス】
http://nishi-jin.net/densanbank/syuri/
本文中にも出てきた福田さんが主宰する人形修理職人ネットワーク「福田匠庵」。「取り替える」ではなく「生かす」をモットーに、分業化された専門職人たちの熟練の技が、相互に連携しながら京人形を蘇生させていきます。
【HPアドレス】
http://www.fukuda-shoan.com/index.html
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