【経済学部】京都から世界へ!海外展開をサポートするJETRO駐在経験者から学ぶ国際経済とは?

2023.12.25

今回講義をしていただいた庄 秀輝所長

経済学部では日本経済の各分野で活躍される方をお招きし、経営者の「生の声」を聞くことができる専門教育科目「経済人特別講義」を開講しています。今回は独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)京都貿易情報センターからゲスト講師として、所長 庄 秀輝 氏をお招きし、⺠間企業の海外展開を⽀援する⽴場から⽇本を取り巻く国際経済・情勢、京都企業の海外進出についてお話しを伺いました。

(学生ライター 国際関係学部4年次 竹本逸美)


日本貿易振興機構(Japan External Trade Organization:以下、JETRO)は国の機関で、経済産業省所管の独立行政法人です。JETROは日本国内と海外に広いネットワークを持つ点が特長で、日本国内に48カ所、世界に76カ所の事務所を持っています。庄所長もマレーシア、アメリカ、サウジアラビアに海外駐在した経歴があり、主な取り組みについては、輸出のサポート、海外企業の誘致、日系スタートアップの海外展開支援などのサポートを行っています。
国内外のネットワークの広さから庄所長はJETROを「グローバルでありローカルである組織」と説明されました。

次に、さまざまなデータを通して客観的な視点から日本の経済についてお話いただきました。
円安によりGDP(国内総生産)の総額は昨年と変わらないのに、世界4位になった日本は、就航エアライン数92社、ビザを取得せずに渡航できる国192カ国と、依然として世界との広いつながりを持っています。また日本の実行関税率(輸入品に課される税率)は平均で5.91%と世界の中でも低く、在留外国人居住者は307万人、海外在留邦人は141万人と人の往来も盛んであると述べられました。

続いてヒト、モノ(貿易)、カネ(直接投資)に注目し説明がありました。その中からいくつか大事なポイントを紹介します。

ヒト

近年インバウンドの恩恵を受けている日本。パンデミックにより落ち込んだ訪日外国人旅行者数も今では約6割に回復し、出国日本人数も約5割回復したということから、これからはさらに多くの人々が日本の国境を行き来するだろうと述べられました。

モノ(貿易)

2020年には医薬品がLNG(液化天然ガス)と並び輸入上位品目の4.7%を占めました。この医薬品の正体は新型コロナウイルスワクチン。コスト競争力と高い技術が求められる製薬産業はグローバルでの競争が激しさを増しており、医薬品が輸入品目上位を占める割合が今後も高くなるだろうと庄所長は考察されました。

カネ(長期直接投資)

日本にある外資系企業で資本金が最大の企業は意外にも日産自動車株式会社とのこと。一時は出資比率の43.4%がフランスの自動車会社ルノーによるものであったことから、日本企業でありながら、外資系企業として認識されていたとお話がありました。
(現在はルノーと日産自動車は資本関係の見直しをし、ルノーの日産に対する出資比率を15%に引き下げ相互に15%ずつを出資し、両社が対等に議決権を行使できるようになりました。)

最後に「世界の中の京都」と題し京都企業の海外ビジネス展開および世界から日本へのビジネス展開についてお話がありました。
伝統産業をベースに先端産業が発展しているケースが多い京都。以前、経済人特別講義でお話を伺った株式会社堀場製作所も、自動車の排ガスを測る技術で世界へ活躍しています。他方で海外からの日本進出についても外資系ホテルをはじめ、さまざまな国から日本へ進出しビジネスを行っていると説明がありました。さらに大学の街でもある京都から学術研究結果をビジネスにつなげるサポートもJETROは行っているそうです。
JETROは、独自のネットワークを活用して、スタートアップを創出し、育て、成長を支援する日本の「スタートアップエコシステム」のグローバル化に取り組んでいます。日本と海外、アウトバウンドとインバウンド、双方のイノベーション企業をサポートしており、イノベーション創出支援は輸出と輸入の次に大きなテーマだと説明されました。
学生からの質問に答える庄所長
講義の途中にはJETROの情報番組を視聴
スタートアップエコシステムの仕組みについて語る庄所長

京都をはじめ国内のさまざまなビジネスや技術が世界に向けて展開するにあたって⽋かせない存在のJETRO。貿易にとどまらずエネルギーや食料問題に対してのイノベーション創出支援にも貢献していることがわかりました。

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