【文化学部】歴史的大発見⁉来迎院・旧善逝院庭園調査で歴史に触れる

2022.08.24

文化学部京都文化学科では、京都の街に出てフィールドワークを行う実践型の授業を数多く開講しています。今回はその1つである「京都文化演習ⅠA」「京都文化演習ⅡA」(担当:マレス エマニュエル准教授)をご紹介します。
この授業では、私たちの日常生活に身近な庭を、細かく徹底的に調査し、京都の庭園への理解を深めることを目的としています。授業では、実際に庭に出向き、環境、地形、構成要素を分析したり、記録に残したりするなどの調査研究を行います。京都には沢山の日本庭園が存在します。これらの日本庭園を出発点に文化、自然、風景や地球環境にまで視野を広げることができるのが特徴です。
(学生ライター 現代社会学部1年次 品川 侑里)
 

マレス准教授とゼミ生7名、そして考古学者で、日本庭園の調査を行っている文化学部元教授で、本学日本文化研究所の鈴木 久男 客員研究員は、京都市左京区の大原にある来迎院・旧善逝院(ぜんぜいいん)庭園の測量を行いました。善逝院は江戸時代後半に燃えてしまい、現在は来迎院の受付として利用されていますが、鈴木客員研究員は旧善逝院庭園が調査されていないことに気が付かれました。そこで、マレス准教授に声をかけ、学生とともに調査し、誰も知らないことを世間に伝えようという目的で始められました。この取り組みは、新しい観光資源の開発に関わることができる、学生にとって貴重な体験です。

 
建物の内部
発掘予定の庭

当日は雨で庭の測量ができないため、建物の測量をし、間取りを調べ、図に書き起こしていきました。今回は3回目の調査でしたが、前回の測量で誤差が生じていたことが発覚し、なぜ誤差が出たのか考えながら計測し直しました。鈴木客員研究員は、「誤差が出ることは当然のことで、湿度・気温により、建物も測りに使う道具もゆがむ。測量は簡単なようで難しい」と長い経験に基づき学生にアドバイスされました。

話をされる鈴木久男客員研究員

学生は、二手に分かれて建物の中と外の測量を進めます。計測のコツや注意点を教わりながら、全員で協力し精密に計測しました。停電で暗い中、スマートフォンの明かりを頼りにして目盛りを読みます。着々と作業をする学生の姿は素晴らしかったです。

細かいところも計測します
建物の外周りの計測
図を描いている様子

測量が終われば、庭の発掘調査に入る予定だそうです。2023年秋に開催される日本庭園学会で、測量と発掘の成果を発表することを目標に進められており、来年もゼミに参加する3年次生が中心となり、報告書の作成をしています。マレス准教授は、「長丁場ではあるが、普段なかなかできない経験になる」と話されました。



歴史的遺産が数多く残る古都・京都で、歴史を身近に感じながら百何十年ぶりの発見に携わることができるフィールドワークは、とても貴重な体験であり京都の大学ならではの活動だと思います。文化学部では、ほかにもさまざまなフィールドワークが実施されています。実際に見て、聞いて、触れることで、日本の文化に対する理解をより深められるのではないでしょうか。
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