【国際関係学部】(株)アシックスのスポーツを通した海外マーケティングを学ぶ!-国際ビジネス論Ⅰ

2022.08.23

ゲストスピーカーの(株)アシックス 椿 恭将 氏
国際関係学部の展開科目「国際ビジネス論Ⅰ」(担当:植原 行洋教授)は、企業活動のグローバル化が急速に進展する中で、世界の最新のビジネス動向について教示を得ること、また国際ビジネスを行う上で必要なオペレーション知識の習得を目指すことを目的に開講しています。
7月5日開催の授業は、(株)アシックス スポーツマーケティング部 陸上ランニングチーム マネージャーの椿 恭将氏をゲストにお招きし、海外向け商品等のマーケティングについて話していただきました。
(学生ライター 経済学部3年次 中村 陸人)

はじめに、「アシックスのランニングシューズを、世界陸上2022を活用して米国人や世界の消費者にアピールするにはどのようなマーケティングが有効か」をテーマにした、学生によるプレゼンテーションが行われました。具体的な目標は「ランニング&レーシングシューズのアメリカのマーケットシェア1位奪還」というものでした。
学生からは、「まずは上級者ランナーの顧客獲得を狙い、徐々に一般のランナーへと繋げる」や「シェア拡大の手段としてオンラインサイトを充実する」、「健康維持需要が高まっている高齢者を対象にした製品の開発」などのアイデアをSWOT分析しながら、アシックスがとるべき具体的なアクションについて提案しました。
3グループの学生がプレゼンテーションした
学生の発表を受けて椿氏からは「提案は会社が掲げているビジョンや事業戦略とも整合している」と高く評価される一方で、「ターゲットがセグメンティング(細分化)できていないことやターゲットと打ち手の整合性が取れていない」などの指摘もいただきました。
質疑応答の様子
その後に行われた椿氏の講義では、アシックスの企業概要、スポーツマーケティング部の業務内容、海外戦略商品のマーケティング、昨年開催された東京2020オリンピックや世界陸上2022(米国オレゴン)でのマーケティングの取り組みなどについて話されました。
スポーツマーケティングとは、スポーツを活用しながら「売れる仕組み」を作ることです。企業はトップアスリートとの契約や世界的なイベントのスポンサーになることで自社製品をPRし、ブランド価値の向上を図ることで売り上げの拡大ができます。例えば、2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップでは、当時日本ではあまり普及していなかったビール「ハイネケン」が大会スポンサーとなり、購入すると大会チケットが当たるというキャンペーンや、会場でのホーカー販売(ビールを背負っての販売)を行い、認知度を高めました。
アシックスの場合は、野球であれば大谷翔平選手のような影響力を持つ選手と契約し、商品を使ってもらうことで、中学・高校野球や少年野球向けの商品販売につなげていく活動をされているそうです。その他にアシックスが行った特徴的な活動としては、東京2020オリンピック代表選手の公式ウェアを作製する際に、環境に配慮し一般家庭にある使用していないスポーツウェアを回収し、リサイクルし再生するというサスティナブルな取り組みが行われました。

質疑応答では、学生から「アシックスの強みである技術力は競技選手にとってはメリットであるが、一般の方にとっては伝わりにくい。一般の方に対する有効なマーケティングはあるのか」という質問が出ました。 それに対し椿氏からは、戦略としてターゲットコンシューマー(ターゲット顧客)は絞っており、ランニングであれば、マラソン大会で自己ベストを狙っている人、マラソン大会で完走が目的の人、大会には出場せずに健康目的でランニングをしている人等にセグメントを切ってコミュニケーションしているが、アシックスグループの中にはオニツカタイガーというブランドがあり、運動する、しないに関わらずファッション感度が高い一般層をターゲットにするなど、常に顧客をセグメンテーションしてからターゲティングしてマーケティングしていると説明がありました。
授業を通して、普段何気なく履いているスニーカーにもさまざまな工夫が施されていることを知ると、また違った見方ができると思いました。植原教授と椿氏がそれぞれの経験を活かした話をされ、また、企業が実際に行っているマーケティング活動と照らし合わせながら受講でき、有意義な授業であったと思います。
PAGE TOP