【現代社会学部】広告戦略を理解する-「マーケティング・コミュニケーション論」

2022.05.20

京都産業大学現代社会学部では、広告製作のプロセスやマーケティング戦略、広告戦略の立案、広告コミュニケーション効果モデルなど、広告分野における理論や概念を学ぶ授業「マーケティング・コミュニケーション論」を開講しています。マーケティング・コミュニケーションとは、製品やサービスの認知と販売促進を目的とした顧客との関わりのことを指し、主な手法として「広告」が挙げられます。
授業を担当するポンサピタックサンティ ピヤ教授はグローバルに展開する広告代理店での勤務経験があり、そこで得た実践的な知識や経験を生かした授業を行っています。
(学生ライター 外国語学部4年次 瀬戸 うた)
学生に質問を投げかけながら授業を進めるピヤ教授
第5回目となる今回の授業のテーマは「マーケティング・コミュニケーション戦略と広告戦略の立案」で、授業の冒頭に広告戦略の基礎について解説されました。
広告活動では、どの媒体で情報を発信するか、どのように表現するかなどを計画する広告戦略が必要になります。広告戦略をたてるにあたり①広告目標設定、②ターゲット設定、③自社ブランドの表現の仕方(ポジショニングと呼ばれる)の順に決定します。つまり明確に目標設定を行い、幅広い市場からターゲットを絞り、他のブランドとの差別化を図ることが重要視されます。
ではなぜ広告戦略が必要とされているのでしょうか。
その理由は、広告効果を高めるため、広告活動を円滑に進めるため、そして広告キャンペーンの達成度を評価するために行われているそうです。
さらに具体的に広告目標の設定に用いられる「広告コミュニケーション効果モデル」について紹介されました。
まずは最も古典的な「AIDMA(アイドマ)モデル」について解説されました。このモデルは、Attention(注意)・Interest(興味)・Desire(欲求)・Memory(記憶)・Action(行為)の頭文字を取ったもので、広告に注目し、興味をもつ、そして商品を欲しいと思わせ、それが記憶され、最終的に行動を起こす(購入する)というプロセスで、広告の効果が発生すると仮定したモデルになります。授業では、実際のCMを紹介しそれがどの段階に当てはまるのかを考える時間が設けられました。単に商品やサービスの販売を促進するだけでなく、存在を認知してもらうために作成されたものもあり、どの段階に目的を設定するかによってCMのテイストが異なります。
AIDMAモデルの図。一方向的なプロセスで広告効果が発生していると仮定している。
次に紹介されたのは「DAGMAR(ダグマー)モデル」。「Defining Advertising Goals for Measured Advertising Results」の頭文字を取ったモデルで、広告効果を測定するために広告目標を設定しようという意味があります。AIDMAモデルと異なるのは、商品が売られる環境や他社との競争状況など外的要因も考える必要があるという点です。加えて商品の認知率が○%、理解率は○%を目標にするというような明確な数値を設定しターゲットを定義することや、目標の達成期間を明示するなど、「書面」にして共有化することが必要だとするモデルです。
DAGMARモデルの図。外からの要因が加わることがわかる。
講義の最後には、春学期最後に行われる最終発表の説明がありました。
学生は3~4名のグループに分かれて、講義で学ぶ理論や概念に基づいて、関心のある実際の商品のマーケティング・コミュニケーションのキャンペーンを自分達で分析し、評価を行った結果を発表するというものです。発表に向けて各グループでの作戦会議が行われました。
次回はスマートフォン普及およびインターネット・SNS利用割合の増加によるマーケティング・コミュニケーション効果モデルの変化と最新モデルについて説明する予定です。

講義を通して、日常的に目にするCMも、作成された背景を考えることでまた違った見方ができると思いました。授業では、ピヤ教授自身の経験を踏まえた解説や実際のCMを見るなど、広告・広報、マーケティング業界に興味がある学生への理解を促すことにつながる充実した講義となっていました。
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