経済人特別講義「アフターコロナのオフィスでの働き方とは!?」

2021.12.15

野村プロパティーズ株式会社 代表取締役社長 髙橋 公一氏

経済学部の専門教育科目「経済人特別講義」は、学部の専門科目で学んださまざまな経済問題について、実際の企業のトップはどのように捉え、考え、企業を動かしているのかを体感することを目的に開講している科目です。毎回、日本経済の各分野で活躍されている方を講師として招き、経営陣の「生の声」を聞くことができます。
今回はゲスト講師として、本学卒業生で野村プロパティーズ株式会社 代表取締役社長の髙橋 公一氏をお招きし、コロナ禍において大きく変化したオフィスでの働き方とアフターコロナについて話を伺いました。

(学生ライター 現代社会学部 2年次 柿内 富良加)


野村プロパティーズは、野村證券、野村アセットマネジメント、野村信託銀行をはじめとする野村グループ全体のインフラ保全等の業務継続を担うファシリティ・マネジメント、所有・賃貸物件などの総合的な不動産マネジメント、不動産媒介をはじめとする富裕層向けの不動産ソリューション・サービスなどを提供している企業です

※ファシリティ・マネジメント
企業・団体等が保有又は使用する全施設資産およびそれらの利用環境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画・管理・活用する経営活動と定義されている。

髙橋氏は、本学経済学部を卒業し野村證券に入社。新入社員での札幌支店勤務から始まり、野村證券の支店長などを経て、野村證券の執行役員、運用会社の野村アセットマネジメントの常務取締役、野村證券の常務取締役、現在の野村プロパティーズの代表取締役社長など、野村グループの幅広い分野を渡り歩いておられます。

新型コロナウィルスの感染拡大の影響でテレワークが推奨され、オフィスに行かなくても仕事ができるようになりました。さらに、オフィスをなくす企業も出てきている中、これからの働き方はどのように変化していくのでしょうか。

野村プロパティーズも緊急事態宣言中は、感染予防の観点から出社比率を3割まで落としていましたが、出社している人への負担、設計図面の共有など作業効率の低下、従業員のメンタル面、人材の育成、在宅での仕事をする際のスペースなど、さまざまな課題が出てきたそうです。
そのため、社員とのグループ・ディスカッションで出た意見なども参考に部室ごとに自由度をもたせて、全体の出社比率を5割程度にコントロールする方法に切り替えるなど、柔軟な対応が不可欠と感じた髙橋氏。
髙橋氏自身も在宅勤務からのリモートにより社員とのコミュニケーションが少なくなったため、会議がなくてもテーマを設けてさまざまな社員と個別で対話する機会をあえてつくるなどの工夫をされたそうですが、どうしてもリモートでは目的の定まった作業を進めることには向いていても、人との間合いや表情を読んで議論したり、知恵を出し合ったり、親交を深める意思疎通には限界を感じていると言います。
一方、通勤時間の削減で子育て世代などの社員にゆとりができたり、在宅勤務では不可能と考えていた出張先や海外の複合メンバーとのリアルタイムでのリモート・ミーティングができるようになったことなど、メリットもあります。それゆえに、企業経営としても今後どのように在宅勤務(リモート)の比率をコントロールするのかが重要な課題の1つになると説明されていました。
また、リモートと対面をいかに融合するハイブリッド型を模索することが大切とも話されていました。

髙橋氏は本学の後輩にもあたる受講生へのメッセージとして、「自分にいくら意見があって言いたいことがたくさんあっても、意識的に相手に関心を寄せ、聞く耳を大きく持って下さい」と述べられました。
過去に大先輩から教わった面白い比喩として、聖人(誰からも尊敬される聖人君主)の「聖」という漢字について「口」の部分が大きい「聖」と「耳」の部分が大きい「聖」を書き、「耳を大きくして、8を聞いて2を話す王様のほうが聖人である。耳の方が大きいとバランスのよい文字になりますが、口の大きい聖の文字は漢字としてもアンバランスですよね。人の話を聞くことができるというのは我慢でもあり、心の中で整理する・考える力でもある」と語られました。
これは友人関係でも同じことで、友達が話している時にどうしても自分の考えを伝えたくて、相手の話をさえぎって話していないか気を付けるだけでも、相手の捉え方、感じ方が随分違うとも述べられました。

「聖」の字を用いてメッセージ
今回の取材を通して、髙橋氏の「背伸びしてつま先立ちして辛くても、いつか地に足が着く」という言葉が印象に残りました。
自分はこのぐらいまでしかできないと思っていることでも、それ以上を目指すことによって、目線が上がり、レベルを上げることができる。今は辛くてもいつか地に足が着く。この言葉を聞いて、私も努力を続けようと思えました。
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