徹底比較!日本とアメリカのストリーミング配信

2021.08.26

近年、急速な勢いで需要が拡大する動画のストリーミング配信(※)。昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響から「おうち時間」が増え、その勢いに拍車がかかりました。皆さんの中にもNetflixやAmazon Prime Videoなど、ストリーミング配信のサービスを利用している人は多いのではないでしょうか?
現代社会学部の専門教育科目「メディア産業論」は、メディア産業への理解を深めるとともに、メディアの特徴や構造などについて考察することを目的に開講されている科目です。今回は、デジタルメディアウォッチャーの大原 通郎氏をゲストにお招きして、ストリーミング配信やテレビ番組、ニュースなどについて、海外と比較しながら考えました。

※ストリーミング配信
インターネットに接続して映像や音声データを楽しむことができる再生方式のこと。
データを小さく分割し受信しながら再生をするため再生開始が早い、視聴端末にデータが残らないため、端末のストレージの空き容量を圧迫しないというメリットがある。

(学生ライター 法学部2年次 八木 一真)


まずは放送業界の現状について説明されました。これまで放送といえば、地上波放送が主流でした。しかし、インターネットやスマートフォンの普及によってストリーミング配信の需要が高まり、地上波放送をしのぐ勢いで急速に広まり、世界中で利用されています。
放送業界の現状について説明があった
大原氏によると特にアメリカで普及しており、シリコンバレーにあるAppleやGoogle、Netflixなどがストリーミング配信ビジネスの先駆けとなってコンテンツを配信しています。これら放送業界における新興勢力への対策として、ウォルトディズニー(ディズニープラス)やワーナーメディア(HBO Max)などハリウッドを拠点とする企業も、ストリーミング配信事業の充実に力を入れているのが現状だそうです。
大原氏の説明を熱心に聞く学生ら
次にテレビ番組の放送について説明されました。アメリカでは、テレビ番組のストリーミング配信も進んでおり、特にアメリカ4大メディアの一つであるCBSは、若者をターゲットにして「テレビでは取り上げないような内容のニュース」をストリーミング配信し、24時間いつでも観られるようにした結果、視聴者が激増したのだそうです。新型コロナウイルス感染拡大の影響によるニュースの需要拡大や、大統領選挙でローカル番組に注目が集まったことも要因と考えられているそうです。
続いて、アメリカと比較して日本での現状について紹介されました。日本でも、TVerや(日本版)Huluといった人気のストリーミング配信のサービスはありますが、ニュース番組においては、そのほとんどが本格的な動画配信に進出していないのが現状だそうです。大原氏は「インターネット利用が主流となり地上波の存続が危ぶまれている現在、放送業界はこのような現状を打破していく必要がある。インターネット社会に慣れた若者の起用や、ローカルの報道局と連携したさまざまなトライアルをしていく必要があるのではないか」と語られました。


日本はこれまで技術の進歩によって、テレビだけでなく、多くのサービスが成功を収めてきました。しかし、そのような独自の進化を遂げた結果、アメリカを中心とした海外と比較して、最新のインターネット環境に適応することができず、孤立し、遅れてしまっている「ガラパゴス化」が起こっていることがわかりました。このような現状を打破するためにも、保守的になるのではなく、さまざまな試行錯誤をしていく必要があると感じました。
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