【文化学部】二条城の魅力と文化遺産活用の取り組みを学ぶ「京都文化フィールド演習」

2021.07.19

文化学部京都文化学科の専門教育科目「京都文化フィールド演習K(平竹 耕三教授)」にて、フィールドワークが行われました。今回訪れたのは、「世界遺産・古都京都の文化財」の構成資産の中で最も新しい二条城。二条城の魅力と文化遺産の保全・継承、活用の取り組みについて学んだ実習の様子をご紹介します。
(学生ライター 文化学部2年次 橋本 健太)
フィールドワークでは、二条城事務所長の志渡澤 祥宏氏と総務課長の鳥居 将志氏より、受講生に詳しく説明してくださいました。
二条城の歴史に関する解説を聞く受講生
まず始めに講義として、鳥居氏が二条城の歴史について解説されました。二条城の歴史は、江戸幕府の将軍 徳川家康が築城を命じたことで1603年に完成しました。二条城は、普段は江戸にいる将軍が、京都を訪れる際の宿泊所として作られたものです。1626年には、3代将軍 徳川家光が、後水尾天皇の5日間の行幸に合わせて敷地を西に広げ、現在の姿となりました。家康・家光の時代に脚光を浴びた二条城でしたが、1867年に、15代将軍 徳川慶喜が大政奉還を表明するまで200年近くは、注目を集めることはありませんでした。二条城を訪れたことがある将軍も、初代家康、2代秀忠、3代家光、14代家茂、15代慶喜の5人のみだったそうです。
大政奉還の後、明治時代に入ると、二条城は天皇の離宮となりました。正式名称が元離宮二条城となっているのはこのためです。その後、1915年には大正天皇即位の行事で使用され、二条城は再び脚光を浴びました。1940年からは一般公開が始まり、1994年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。

続いて、鳥居氏は、二条城の保全・継承、活用の取り組みについて説明されました。二条城には、国宝の二の丸御殿、重要文化財の唐門、特別名勝の二の丸庭園など、さまざまな文化財があり、それらの保存・修復は重要な取り組みです。しかし鳥居氏によると、文化財の保存・修復以外にも、二条城には重要な事業があるのだそうです。具体的には、二条城ウエディング、一口城主募金、盆栽展、企業のレセプションパーティー、現代アート展、将棋の対局などの取り組みで、これらの取り組みの目的は、保存・修復の費用を集めることはもちろん、二条城に関わる人を増やすことにあるのだそうです。そのために、“市民が身近に感じる場所”という面と、“イベントなどが行われる特別な場所”という面の、2つの面を二条城に持たせたいという思いがあるのだと、鳥居氏は説明されました。
「以前は、文化財を“保存する”ということを重要視していましたが、現在は、“文化財について多くの人に理解してもらい、活用することで、価値を共有して財源を確保するという循環”を重要視する考えへと変わってきています」と、文化遺産の活用に対する思いを語られました。
講義後には二の丸御殿を見学
講義を受けた後、二の丸御殿に入りフィールドワークを行いました。受講生がまず訪れたのは、遠侍の間です。この部屋は、特徴的な障壁画から「虎の間」とも呼ばれ、虎が描かれている理由は、徳川家の権力の大きさを表し、来殿者を怯ませるためだったそうです。
次に訪れたのは式台の間。式台の間の障壁画には、徳川家の繁栄を表す植物として、力強い松が描かれています。さらに、大政奉還が表明された大広間の一の間、二の間も見学。上段の一の間、下段の二の間からなり、書院造りの特徴である床の間、違棚、付書院、帳台構えを備えています。
その他、いくつかの部屋を廻った後、二の丸庭園、西門、あじさい園などを巡りフィールドワークを終えました。
黒書院、あじさい園なども案内していただきました
講義と見学終了後、平竹教授は「知識を得た上で、更に実物に触れることで新たな発見があったと思う。ここで得たそれぞれの目方や頭に浮かんだ意見を大切にしてほしい」と受講生に伝え、実習を締めくくりました。
文化財の「保存」から「理解」「活用」「共有」へ。受講生たちの文化財への向き合い方や意識が変わる機会になったのではないでしょうか。
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