現代社会学部「現社ゼミ報告会」開催 ~学部の「多様性」の体現の場に~

2021.03.10

所属するゼミについて紹介を行う参加者たち

学生間での交流が減る—コロナ禍での工夫

京都産業大学現代社会学部には2~4年生がそれぞれが同じテーマ、目標に向かって取り組むゼミナール(以下:ゼミ)が34ゼミあり、研究テーマは「地域活性化」や「学校教育」などの政策的なものから、「広告」や「メディア」などの情報産業に関するもの、「栄養・食生活」、「スポーツ」といった健康スポーツに関するものなど、その種類は様々です。

今年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、毎年恒例であった各種イベントを開催できず、各ゼミや学生が相互に学び合う機会が大幅に減少しました。(現代社会学部が2019年までに行ったイベントやニュースに関する記事はこちら→現代社会学部ニュース一覧(2019年) | 京都産業大学 (kyoto-su.ac.jp)

そこで、学生が交流できる場を提供しようと、現代社会学部の学生と教員が共同で企画(コラボ活動)し、オンライン配信を活用した「現社ゼミ報告会」を2021年1月21日と22日の2日間で開催しました。当日は59の発表団体が参加し、ゼミの活動報告や研究成果など発表しました。

オンライン配信を活用し行われた発表の様子—発表者も聞き手も真剣な様子

~現代社会学科 藤野ゼミのチーム~

視聴者からの質問に答える藤野ゼミの学生
会場の様子 Teamsでの同時配信の模様がスクリーンに映し出されている
女性は、経済的弱者に陥りやすかったり、差別的境遇にあっても声を上げたりしないことが国や時代を問わず共通しており、それは、女性の育った家庭環境と関係あるのではとの疑問からはじまった研究。そこで親の学歴がその娘の性別役割意識、就労意識、政治意識に与える影響を様々なデータから分析。低学歴の母親を持つ女性は母性神話(女性は子を持つと子育てに専念すべき)を信じる割合が高い等を明らかにした。家庭環境に関わらず、女性が学校教育の場でキャリア意識や政治参加意識等を学ぶ重要性を主張した。

~健康スポーツ社会学科 吉岡ゼミのチーム~

発表を行う吉岡ゼミの学生
会場だけでなくオンラインで寄せられた質疑にも応じた
スポーツをしている学生を食生活の面から支援するため、アスリート食が大学内の食堂(学食)でも提供されるべきでは?という考えの下、「学食におけるアスリート食」のニーズと京都産業大学の学生の食生活の現状について調査。学生寮という環境下で規則正しい生活を送りやすい体育会クラブの学生に対し、そのような環境にない文化系クラブの学生の食生活において差があることがわかり、その一因として「朝食摂取率」をあげた。「当初の目的である“学食におけるアスリート食”の実現に向けて取り組み続けることに加え、今後は学生全体に対し“朝食摂取の重要性を伝え、経済的事情に左右されないメニューの提案”を行いたい」と報告した。

発表を終えた参加者は、学生同士で交流できる良い機会となったことに達成感に満ちた表情で喜びを噛み締めつつも、自分たちの研究内容を聴講者に分かりやすく説明することの難しさを痛感したようでした。

「楽しめて、盛り上がれる。」 イベント要素もしっかり盛り込む

報告会の最後には「特別企画」と称し、参加者の発表にオンラインを通して寄せられたコメントの共有や、事前に行われていた現代社会学部の新しいロゴマークを決める投票の結果発表、学部のイメージキャラクターとして新しく作られた「げんしーくん」の紹介などを行いました。

【げんしーくん】
ある星からやってきた記者。周りの人にバレないように、マスコットとして行動している。いつも拡声器を持っていて、耳から情報を吸い取ることができる。

「投票で決まったのは…これ!」 現代社会学部の新しいロゴマーク
実行委員が当日つけていた「げんしーくん」のマスク 耳で情報を吸収し拡声器で発信する地球外生命体をイメージ
閉会式では、より発表が優れていた団体に向けて、最優秀賞、学部長賞、審査員賞、優秀賞の発表を行い、受賞者には賞状と記念品が授与されました。
(審査結果および各グループ名と発表テーマは、ゼミ報告会公式Twitter→京都産業大学 現社ゼミ報告会さん (@KSU9zemikai) / Twitter、または現代社会学部の公式Twitter→京都産業大学現代社会学部さん (@genshaksu) / Twitterから閲覧可能です。)

「多様性」の尊重を維持するために


現代社会学部長の藤野 敦子教授は「この報告会において、皆さんの多様な研究に触れ、私自身、皆さんの研究から多くのことを学ぶことができた。現代社会学部がまさに“多様性を尊重する学部”であることを改めて認識したが、つまり自身の研究を発表するということは自らの学びにとどまらず、相手の学びにもつながっていくということ。互いに高め合う学部としてこれからも勉学に励んでほしい」と力強くコメントされました。

また、ゼミ報告会の実行委員長である矢部 達大さん(現代社会学部4年次)は、「無事にゼミ報告会を終えられたのは、全ての関係者の協力があったからこそ。後輩のみんなには、困難に直面したり厳しい意見が飛び交ったりしたとき、それらを“受け止める力”を付けてほしい。全てが思い通りにいくわけではない現実を受け止め、その中でできることを探して諦めずに取り組むことで、学部の目指す“多様性”が維持されると思う」と話しました。
閉会式で進行を務めた矢部さんと藤野学部長 息ぴったりなその姿はまるでラジオパーソナリティ
ゼミ報告会を企画した実行委員の学生と教員

2日間の取材を通し、実行委員はもちろん、参加者全員の研究への熱意に感動しました。また、取材を通して、コロナ禍でも、オンライン配信を活用してイベントを開催したり、新しいキャラクターやロゴマークを生み出したり「挑戦なくして失敗なし」と言わんばかりの実行委員のみなさんの行動力に勇気づけられました。
(学生ライター 外国語学部2年次 福崎 真子)
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