「日本語教育実習」withコロナ 夢に向かって前向きに

2020.12.14

日本語の動詞について教える教育実習生 真剣なまなざし
外国語学部 アジア言語学科 日本語・コミュニケーション専攻の専門教育科目、日本語教育実習は、日本語教師を目指す教育実習生にとって、実際に日本語学習者を目の前にして授業を実践し、教育の仕方を学べる機会です。例年、国内の留学生を相手として実施されるほか、希望によっては、教育実習生が直接海外の日本語教育機関に出向いて実施されることがあります。
しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で海外での実習が難しいことから、国内のみで実施することになりました。現在、感染予防に取り組み(マスク・消毒・検温・ソーシャルディスタンスの確保)、対面、オンラインの併用授業が行われています。

留学生からの質問に回答する今西 准教授 お互い日本語に興味津々
最初に紹介するのは、12月3日に開講した対面授業「インテンシブ日本語」。本学の留学生を対象に、日本語運用能力向上のために日本語の基本的知識を扱う授業です。授業を担当する教員は、外国語学部の教育実習生、和田さん、中村さん、廣門さん(日本語・コミュニケーション専攻3年次)の3人です。今西 利之 准教授のサポートを受けながら、交代制で教壇に立ちます。 授業のテーマは、「動詞の分類:~ている、~てある」についてでした。「ビルを壊している」と「ビルが壊れている」という二つの文。両方に「~ている」が使われますが、意味はどう違うのでしょうか?「電気が消してある」と「電気が消えている」の違いは? 私たち日本人はこれらを無意識に使い分けています。しかし、他国の日本語学習者が理解するのは簡単なことではありません。 教育実習生は留学生が持つ疑問を解消すべく、即興で例文を作ったり図を描いたりと、解説に様々な工夫を盛り込んでいました。途中の“休憩タイム”(今西准教授独自の取り組み)では、今西准教授が直接留学生からの質問に回答する場面も見られ、教室内の様子は絶えず充実した雰囲気に満ちていました。

Teamsの画面を前に授業を行う田中さん
続いて紹介するのは、12月4日に開講したオンライン授業「上級日本語」。ビデオ通話機能「Teams」を利用して行われました。本学の外国人留学生1年次生を対象とし、アカデミックレベルの文章を作成する力 を養成するための内容を扱います。教室内でのリアルタイム授業をリモートで配信し、画面越しに教育実習生と留学生がやり取りをします。教壇に立つのは教育実習生の田中さん(日本語・コミュニケーション専攻3年次)。指導員役の教員と教育実習生の仲間数名 に見守られながら、少し緊張した面持ちで授業を開始しました。


 

田中さんの話に耳を傾ける留学生
授業のテーマは「接続詞」。 「要するに・つまり・したがって」など、文章を書く際に役立つ接続詞ですが、正しく使うにはその仕組みを深く理解する必要があります。例えば、「要するに」と「つまり」は一見同じ意味のようでも、本来は使われる場面や文脈が異なります。留学生は択一クイズや例文作成のアクティビティなどを通し、それらの違いを実際に使い分けることに挑戦しました。
最初漂っていた緊張感から一転、授業が進むにつれ徐々に生き生きと振る舞えるようになった田中さん。「留学生の反応が良かったことで緊張がほぐれ、楽しい雰囲気の中で授業ができたと思う。留学生の発言に対する反応が、時々曖昧になってしまったところが改善点。次回の授業では、大学生の日常で使われる“キャンパス用語”を扱っていく予定だ」と、前向きに語 っていました。


今回は、外国語学部アジア言語学科日本語・コミュニケーション専攻の「日本語教育実習」を取材しました。
どちらの授業内容も、取材している私自身がのめりこんでしまうほど興味深いものでした。「日本語って難しい、でも奥深くて綺麗」と感じられたのは、日本人の私にとって貴重な体験であったと感じます。また、新型コロナウイルス感染予防対策に準じた異例の取り組みが数多くある中で、教育実習生が安心して活発に計画・実践できる場が作られていて、学生・教員の各々が充実した時間を過ごせているように感じました。教育実習生らの夢を、たとえ「withコロナ」な環境だとしても、柔軟な対応で支えていく。そんな日常のひとときを垣間見て、「私も彼ら、彼女らの夢を応援したい」という暖かな気持ちになりました。

(学生ライター 外国語学部2年次 福崎 真子)
 
PAGE TOP