【国際関係学部】JICA、青年海外協力隊・海外であらゆるキャリアを積んできた伊藤氏から学ぶ!「今から始める海外キャリア展開」
2025.01.15

伊藤氏の大学生時代
講演のはじめに、伊藤氏がどのような学生生活を送ってきたのかについてお聞きしました。小学生の頃に、友人が海外へ短期留学されたことから海外に興味を持つようになり、高校生の時には青年海外協力隊にも関心を持たれたそうです。大学生のときは、必要な単位をほぼ取り終えた後、1年間大学を休学し、シドニーの語学学校へ留学され、ボランティア活動に参加したり、自ら英語教育を学ぶ学校にも通われました。大学生の時に留学を経験し、海外とのつながりを作った中で、これを活かして、与えられる立場ではなく、お世話になった方々に恩返しできるような立場で、海外で暮らしたいという気持ちから、帰国後は、JICA青年海外協力隊に挑戦されました。
青年海外協力隊員の経験
伊藤氏は、協力隊員としての活動先としては日本との繋がりを感じられる「海がある国」を希望し、パラオの小学校で算数・体育の教育を担当することになりました。運動会や九九の大会、さらには夏季クラスや柔道隊員と合同授業で日本文化の紹介をしたり、学校でできる取り組みはなんでも実行したそうです。私生活では、パラオの神話を板に彫った「イタボリ」や自転車でパラオの縦断にも挑戦されました。一見、楽しそうで充実した隊員生活を過ごされていたのかと思いましたが、伊藤氏の心の中にはいくつかの葛藤がありました。それは、小学校の教師が座って教えることや反復練習がないなど教育に対する取り組み方の違いや、時間通りに始まらないことや早く終わった生徒が時間を持て余すなど時間の使い方の違いでした。日本の感覚を大切にしながらも、相手との価値観の違いを受け入れ適応していくことを学びました。

海外でのキャリア展開
協力隊の任期を終えたあとは、伊藤氏は「今しかできないこと」を第一に考え、パラオでさらに可能性を追求する道を選択し、パラオの旅行会社で社会人としてのキャリアを更にステップアップさせました。旅行会社では主に、旅行者の旅の計画を立てることや、空港送迎やホテル・ツアー手配などの業務を行ないました。伊藤氏は、その旅行会社でアシスタントマネージャーを務めるまでの経験を積んだ後、その次のキャリア展開として、JICAパラオ事務所にて日本語可能なナショナルスタッフのポジションとして仕事をすることになりました。JICAは公的機関ですので、そこでの業務は公平性や透明性・競争性を重視するため、規程に沿った仕事になります。そのことへの厳しさと向き合いながら、国と国を繋ぐという任務を全うする日々を過ごされています。
キャリアのお話しのまとめ部分での、「人生なんてきっかけひとつ」という言葉に私は感銘を受けました。また伊藤氏から学生に、「これから挑戦したいことは何か」という問いかけがありました。私自身は、大学3年生という、自分の将来を真剣に考える時期に差し掛かっていますが、社会人になるまでに挑戦したいことがたくさんあります。例えば、アフリカに足を踏み入れてみる、渡航助成金の獲得に挑戦する、ゾウ使いの免許をとる…といったことです。人生をいかに彩るかは自分次第であり、きっかけひとつで変わるのだからなんでも好きなことに挑戦すれば良い!ということに対して自信を持たせてくれる機会となりました。

パラオの環境変化と課題
講演会の後半では、パラオの課題や20年を経ての変化について学びました。パラオは気候が穏やかで自然が豊かであるため、環境的ストレスの少ない国です。しかし、今のパラオでは、自然と共に生活していた時代から変化し、車の普及や核家族の増加が見られ、近代化した生活を送っているそうです。核家族や国外への人口流出などの社会的問題や温暖化など気候変動による問題にも悩まされています。そのような中、JICAパラオ事務所では、自然の恵みへの依存と経済活動のバランスを取るため、「循環型社会」を観光資源にするための支援に取り組んでいます。伊藤氏は「productionとprotectionのバランス」に配慮して支援することの大切さについて言及されていました。
講演会をふりかえって
この講演会に参加した学生の感想からは、たくさんの振り返りの言葉が寄せられました。そこからは、青年海外協力隊や国際協力についての理解を深めるとともに、自身の行動や考え方を見直す良いきっかけを得たことが伺えます。また、「人生なんてきっかけ一つ」という言葉に触れ、小さな挑戦が人生を大きく変える可能性に気づいた学生がいました。さらに、パラオの気候変動の深刻さに触れ、国際的な視点でこれらの課題に取り組む必要性を実感したとの感想も複数見られました。異文化理解の重要性や行動力の必要性を学び、自己成長や新たな挑戦への意欲を高めるきっかけとなったとする声が多く寄せられていました。
私自身も、伊藤氏の海外キャリア展開のお話しから、これまでの学生生活を振り返ると共に、これからの人生の彩り方についても考える時間になりました。有意義な時間をありがとうございました。
