【経営学部】オルビス株式会社 小林 琢磨氏が会社経営の苦労と楽しさを語る!
2025.01.27
経営学部の専門教育科目「経営戦略論(事業戦略)」(担当:柴野 良美准教授)では、さまざまな視点から、経営戦略の中でも事業戦略(事業目標達成のためにとるべき戦略)について学びます。今回は、オルビス株式会社代表取締役の小林 琢磨氏をゲストスピーカーとして迎え、オルビス株式会社のリアルな経営改革について講義していただきました。その様子を取材しました。
(マネスタ・学生ライター 経営学部4年次 栗山 愛菜)
小林氏は2002年に株式会社ポーラへ入社後、2010年にグループの社内ベンチャーを起ち上げ、株式会社DECENCIA代表取締役社長に就任しました。2017年にオルビス株式会社のマーケティング担当取締役、2018年に代表取締役に就任し、リブランディング・構造改革・組織変革などを実行しました。現在、ポーラ・オルビスホールディングス取締役を兼務されています。
講義では、自身のターンアラウンド(経営改革)の経験から、経営戦略の実経営における必要性についてお話されました。小林氏は社内ベンチャーを経営していた時に、社員が増加する中で、経営の原理原則を知る重要性を感じ、大学院で経営学を学び直しました。その知識と経験をもとに、その後のオルビスの経営の低迷期に会社を立て直した事例を紹介されました。その時期は、多忙のあまり会社に寝袋を置き、経営を行っていたそうです。

オルビス株式会社は、化粧品、栄養補助食品、ボディウエアの企画・開発および通信販売・店舗販売を行っている企業で、オイルカット・無添加のシンプルな商品を強みとし、「ヒトが本来持っている力を発揮させる」という点で大手との差別化を図っています。成長期にあたる1990年代半ば~2000年代に、ネット通販などインターネットを介してモノやサービスの売買や契約をする「Eコマース」を展開しました。
しかし、「オルビスは通販会社」という認識が社内外問わず広がっており、スキンケア分野を得意としていながら、雑貨など多品目を取り扱う「バラエティショップ」になりつつあるという事態が発生しました。化粧品会社という認識が遠のいていたため、社内でも競合の認識にばらつきが出ており、消費者も思うように増えず、1人にどれだけ購入してもらえるかという思考が広がっていました。そのため、値下げ販売が進み、本来オルビスの持つブランド価値が低下していったそうです。
この状況から脱却するため、顧客に対して魅力をアピールできるような自社製品の独自の価値を決める活動である、「ポジショニング」の再構築を図りました。例えば、オルビスのオイルカット・無添加でシンプルな商品は、ナチュラルオーガニック商品にポジションを取って代わられる事態になりました。そのため、オイルカットの上にさらなる強みを作る必要がありました。そこで作った商品が「オルビスユー」というスキンケア商品です。スキンケアに効果を感じにくいオーガニック商品とは異なるポジションを確立し、新たな差別化イメージを確立させることに成功しました。
しかし、「オルビスは通販会社」という認識が社内外問わず広がっており、スキンケア分野を得意としていながら、雑貨など多品目を取り扱う「バラエティショップ」になりつつあるという事態が発生しました。化粧品会社という認識が遠のいていたため、社内でも競合の認識にばらつきが出ており、消費者も思うように増えず、1人にどれだけ購入してもらえるかという思考が広がっていました。そのため、値下げ販売が進み、本来オルビスの持つブランド価値が低下していったそうです。
この状況から脱却するため、顧客に対して魅力をアピールできるような自社製品の独自の価値を決める活動である、「ポジショニング」の再構築を図りました。例えば、オルビスのオイルカット・無添加でシンプルな商品は、ナチュラルオーガニック商品にポジションを取って代わられる事態になりました。そのため、オイルカットの上にさらなる強みを作る必要がありました。そこで作った商品が「オルビスユー」というスキンケア商品です。スキンケアに効果を感じにくいオーガニック商品とは異なるポジションを確立し、新たな差別化イメージを確立させることに成功しました。

小林氏は事業再生のポイントとして「組織を動かすこと」を挙げ、行動指針を変え、過去からの脱却を図ることから始め、広告に力を入れることで、消費者に対してブランドの認知とイメージを変えることの必要性を説きました。人口減少が続く日本において、新規消費者の獲得が難しくなっている中、商品に付加価値を付けるために、行動指針やプロモーションを変えていくことは、経営において全て連動していると強調しました。現在では、消費者に自社製品に愛着を持ってもらうことで利益を伸ばしたり、オルビス商品に初めて接する場としてドラッグストアを用いることで、将来的に直営店での購入に結びつくような戦略を行っています。
今回の講義で、経営することの苦労と、その中にある楽しさを学べました。1つの映画を見ているような感覚で小林氏のターンアラウンドの経験を聞くことができ、会社経営に興味を持つ学生にとって、刺激的な機会になりました。
※ 記事ではご講演時の役職を記載しております。
今回の講義で、経営することの苦労と、その中にある楽しさを学べました。1つの映画を見ているような感覚で小林氏のターンアラウンドの経験を聞くことができ、会社経営に興味を持つ学生にとって、刺激的な機会になりました。
※ 記事ではご講演時の役職を記載しております。