【理学部】物理科学科 内田 和之 教授がシリコン結晶上のインジウム原子膜について、Quemix社・東工大との共同研究の成果を共著論文にて出版しました

2024.06.25

研究成果

理学部 物理科学科 内田 和之 教授が、シリコン結晶上のインジウム原子膜についての研究成果をJournal of the Physical Society of Japanに共著論文にて出版しました。

掲載論文

題目: A New Superstructure Model of the Si(111)-√7× √3-In Surface
著者 Kazuyuki Uchida , Jun-Ichi Iwata , Yu-ichiro Matsushita(共著)
URLJournal of the Physical Society of Japan, 93, 074601 (2024).

背景

「Si結晶の(111)表面上のIn原子層」は2次元超伝導系の希少な例であり、さらに近年はスピントロニクス応用の観点からも注目されています。これまでに√7×√3周期の原子構造モデルが提案されていますが、このモデルにはARPES実験の結果を非常によく再現する一方でSTM実験の結果を再現できないという問題点があり、長年の懸案となっていました。

研究概要

真の原子構造が従来に考えられていた√7×√3構造ではなく、実はそれに長周期の変調を課して得られるモアレ超構造なのではないだろうか?という仮説を立て、超大規模な第一原理計算によりその電子構造を調べました。その結果ARPES・STMの両実験を再現する事が示され、提案したモアレ超構造モデルの妥当性が実証されました。

用語解説

超伝導=電気抵抗ゼロで電流が流れる現象。
スピントロニクス=従来の電子工学が電子の持つ電荷を利用するのに対し、電子の持つスピン(磁石としての性質)を利用してこれまでにないデバイス機能を実現しようとする工学的な試み。
ARPES=角度分解光電子分光法。固体中の電子の運動量とエネルギーを同時に測定する実験手法。
STM=走査型トンネル顕微鏡法。固体表面の電子の分布を原子レベルの分解能で測定する実験手法。

参考

PAGE TOP