【国際関係学部】マルタ遺産局の方が大阪・関西万博の準備のため京都を訪問、本学で講演されました!(植原ゼミ)
2024.12.11
(国際関係学部3年 寺崎 華花)

動き出した甲冑修復プロジェクト
大阪・関西万博の準備の一環として、マルタ遺産局のボネッロ氏が11月14日に京都を訪問されました。今回の京都訪問の目的は、甲冑修復プロジェクトの進捗を確認するためです。植原ゼミのメンバーがその修復プロジェクトに携わる京都美術品修復所の方々とマルタ遺産局の方々への通訳をさせていただきました。マルタに長い間眠っていた日本の甲冑3領が、約160年ぶりに帰国し、2025年の大阪・関西万博のマルタ館での展示を目指し現在修復中です。これらの甲冑は、幕末に江戸幕府がヨーロッパに派遣した文久遣欧使節団が、当時英国領だったマルタに立ち寄った際に友好の証として贈呈したものであり、福沢諭吉も随行し、マルタの軍事的要衝を興味深く観察したという歴史的背景があります。長年、マルタ政府の武器庫地下室で保管されてきたこれらの甲冑は、マルタ特有の海風の影響により、激しく傷んでいました。このため、マルタから日本側に修復が依頼され、京都市中京区の株式会社宮帯が運営する京都美術品修復所に預けられることになりました。この甲冑の帰国と修復は、日本とマルタの歴史的な友好関係を象徴する意義深いプロジェクトとして注目されており、2025年の大阪・関西万博で展示されることで、両国の文化交流の歴史が広く知られることが期待されています。
万博での展示に関わるプロジェクトの通訳を任させていただき、とても貴重な体験でした。特に印象的だったのは、京都美術品修復所の方々とのやり取りの中で使節団の方々が、「修復所の方々が私たちよりも甲冑について知っているので最終的な修復の形は任せたい」と時折おっしゃられていたことです。ここから日本へのリスペクトの気持ちと信頼が垣間見えました。このリスペクトと信頼は甲冑が友好の証として贈られた当時から連綿と続いているのではないかと感じました。また、マルタで長年にわたり保管されてきた甲冑が、京都での修復を経て、大阪・関西万博で再び日の目を見るというプロジェクトは、両国の歴史を未来につなげる重要な橋渡しとなると確信できました。両国の友好の歴史が単なる過去の出来事ではなく、現在の文化交流や相互理解の礎石になっていることも改めて認識できました。


名所のご案内と大学でのマルタ講演会
上賀茂神社は古都京都の誇る世界文化遺産の1つに登録されている神社です。本学と神社の繋がりや素晴らしい景色を楽しんでいただきました。
最後に「International Business Case Studies」(担当:植原 行洋教授)の授業においてマルタ遺産局の講演会が開催されました。講演テーマはConnecting to the MALTA World ~ Great historical heritage and Hidden story with Japan ~でした。講演会では、観光のみならず、知られざる日本とマルタの歴史、そして大阪・関西万博につながる両国の未来についても聞くことができました。地政学的に歴史の交差点となったマルタに残る文化遺産の古さや奥深さには圧倒され、いつの日か訪ねてみたいと思いました。そして、まずは来年に大阪・関西万博のマルタ館を訪れ、完全修復された甲冑(注)を見ることが今からとても楽しみです。




<マルタ遺産局のWebサイト>
https://heritagemalta.mt/
参考文献:朝日新聞Digital(2023年11月20日)
https://www.asahi.com/sp/articles/ASRCK659CRCJPLZB00Z.html?msockid=3e6efb9b5ff965760103e9af5e2b644d