【現代社会学部】「プロジェクト演習」(加藤ゼミ)ベトナムでの現地調査実習

2024.09.13

現代社会学部「プロジェクト演習」は地域社会との協働による課題解決型学習を行うゼミ科目です。6つのゼミのうち、加藤敦典教授が指導するゼミでは、ベトナムでの現地調査をベースに地域課題の発見と解決プロジェクトの立案を目指し活動しています。

本年度の現地実習のテーマは「Action and Research」です。現地社会の人々と協働しながらイベントを企画し実行するなかで、地域の文化的特徴や社会・経済的課題について学びを深めることを目標に実習を実施しました。3年次生8人と2年次生1人(2年次生は「海外フィールドワーク入門」科目の履修生)からなるチームが、8月17日から計12日間の日程でベトナムに渡航し、ハティン(Ha Tinh)省のタックチャウ(Thach Chau)村で実習を行いました。タックチャウ村は有名な科挙合格者を輩出するなど、学問と文化の伝統をもつ村です。

ゼミ生たちは、村の人たちと文化・スポーツ交流イベントを開催することを目標に国内で事前準備を進めたうえで、現地では、まず「ジェンダー・環境班」(村の女性の社会的地位の調査、村の環境衛生の調査など)、「鶏班」(鶏の飼育や売買、祭事での鶏の供物のつくり方の調査など)、「スポーツ・娯楽班」(村で盛んなスポーツの調査など)に分かれて観察調査やインタビュー調査を実施しました。

調査にはベトナム国家大学ハノイ校人文社会科学大学の日本学科の学生2名が通訳兼調査パートナーとして協力してくれました。調査には同大学のグエン・フオン・トゥイ(Nguyen Phuong Thuy)先生も同行してくださいました。

市場(いちば)での調査風景
ベトナムの学生たちと協力して調査しました
村での文化・スポーツ交流イベントでは三つの企画を実施しました。まず、村の女性連合会の協力を得て「ジェンダー・トーク」(座談会)を開催しました。日本のお茶やお菓子を用意して、家庭や社会における女性の立場について意見交換を行いました。次に、小学校の先生方の協力を得て、子ども向けのサッカー教室を開催しました。日本独自のキック・ベースボールの要素を練習に組み込むなどの工夫もしました。最後に、サッカー教室に参加した小学生たちや、その弟・妹たちに日本の屋台文化を体験してもらいました。屋台では「たません」やフランクフルトを食べたり、ボールすくいを楽しんでもらったりしました。また、環境班のゼミ生からのアイデアで、ゴミの分別習慣を紹介し、「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」の分別にも挑戦してもらいました。準備の段取りでのコミュニケーションに苦労するなどするなかで、日本とベトナムの実践感覚(ハビトゥス)の違いなどにも気付くことができ、ゼミ生たちにとって大きな学びの機会になりました。
ジェンダー・トーク(座談会)
キック・ベースボールの要素も取り入れたサッカーの練習
たませんとフランクフルトを作る学生と現地の子どもたち
ゴミの分別にも挑戦
その後、一度首都ハノイに戻り、寝台列車でフエ市に向かいました。フエ市は中部地方にある古都で、ベトナム最後の王朝であるグエン朝にまつわる建造物群が世界遺産に認定されています。また、フエ省と京都府のあいだには平成25年以来の親善交流関係があります。
寝台列車で移動
フエ市では国立クオック・ホック(Quoc Hoc)高校の日本語コースの生徒たちと交流をしました。クオック・ホック高校はホー・チ・ミン主席らを輩出した伝統のある学校です。現役の生徒たちも、ベトナムや日本の大学への進学を目指して一生懸命に勉強している様子がうかがえました。生徒たちに学校案内をしてもらった後、ベトナムや日本のパーティー・ゲームで遊んだり、京都の紹介などをしたりして交流を深めました。その後、世界遺産である王宮跡を一緒に見学しました。生徒たちとは、一緒にダンス動画を撮影するなど、国境を越えた若者文化でも通じ合うことができました。交流会では、日本語コースのレ・ファン・トゥイ・チャウ(Le Phan Thuy Chau)先生に大変お世話になりました。
ダンス動画を撮影中
京都について紹介
王宮を見学
加藤ゼミでは、今回の成果を秋学期の国内での活動につなげ、日本とベトナムの架け橋となるプロジェクトをつくりあげていく予定です。
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