【文化学部】大原の歴史文化と「食」を体感しよう!!中野ゼミで「体験・対話型」フィールドワークを行いました

2024.07.22

文化学部京都文化学科 中野 宏幸 教授の「観光文化演習ⅠA(3年次)」では、7月15日、大原三千院で歴史文化を学ぶとともに、赤紫蘇摘み体験や地元の方との対話を通じて食文化への理解を深めるフィールドワークを実施しました。本ゼミでは地元と連携して、大原で継続的に演習を行い、地域で大切に守り続けている文化的価値とその魅力の継承のあり方について考えています。
魚山とも呼ばれる大原は、仏教音楽(声明)の発祥の地であり、念仏聖が修行する隠棲の里であった時代から千有余年の歴史を紡いできています。三千院では門主の小堀 光實師より大原の声明や「文化の意味」「歴史と文化をどのように学ぶか」のご講話とあわせ、学生との質疑応答の機会もいただきました。また総務部長の宇田 泰観師より、宸殿・客殿、聚碧園・有清園、往生極楽院、円融蔵のご案内を受け、「若狭街道」の要所であった機能、三千院の由来や建築・庭園について学びました。そのなかで「地域の文化を支える方々と接する機会を持ち、土地の風土や文化を肌で感じとってほしい」との言葉をいただきました。
三千院にて門主の小堀師と全体写真
四方を山に囲まれた盆地に位置する大原は、のどかな田園風景や山間に谷水を集めて流れる高野川など、自然の美しさと清らかさをたたえる山里です。学生は、赤紫蘇の収穫を体験し、食文化や農産物に対する地域の思いへの理解を深めました。
まず大原観光保勝会会長の辻 美正氏から「大原の特徴と赤紫蘇の歴史的価値」についてお話を伺いました。赤紫蘇を原料とする大原の「しば漬」は、大原の里人が寂光院に隠棲されていた建礼門院へ献上した際に「紫葉漬(しばづけ)」と命名されたことに由来しています。大原では雑種交配しないように毎年自家採種が行われ、良質な赤紫蘇を受け継ぐ努力が重ねられているとのことです。
その後、学生達は、畑に出て、辻氏のご指導のもと、赤紫蘇を収穫しました。刈り取った赤紫蘇は、「わいわい朝市」の会場に運び、腰を入れた水洗いの作業と葉をもぐ作業を学びました。慣れない手つきながら、深みのある香りに親しみつつ、グループで協力して進めました。
赤紫蘇の畑にて(左端:辻会長)
赤紫蘇の赤い色は、ブドウやブルーベリーなどに含まれるアントシアニンによるものです。赤紫蘇ジュースのレシピのレクチャーを受け、もいだばかりの赤紫蘇の葉を使用したジュースの作り方を実地に学びました。短時間で煮出した液体にクエン酸を加えることで鮮やかなルビー色のジュースができ上がっていく過程に、学生は驚嘆の声を上げていました。昼食では、できたばかりの芳醇な味わいの赤紫蘇ジュース、京の伝統野菜である賀茂なすを使用した「賀茂なすのしぎ焼き」とフレッシュなトマトをいただきました。
赤紫蘇の水洗いをしている様子
新鮮な野菜と賀茂なすのしぎ焼き弁当をいただく学生
「わいわい朝市」の会場では、インバウンド観光客の動向、大原の暮らしや魅力などについて、地元の方々と懇談を行いました。学生からは「三千院で、仏教声楽曲や下村観山が描いた虹の襖絵などの説明をお聞きし、ものの見方や考え方、着目すべき点などを学ぶことができたのでとても参考になった」「赤紫蘇体験で赤紫蘇の魅力を肌で体験して感じることができた。赤紫蘇ジュースはとても美味しかった」「大原を訪れる方々に赤紫蘇を作る住民の思いをより伝えることで、ゲスト・ホスト双方にとって有意義な時間にすることができるのではないかと感じた」「インバウンド観光客の増加など状況の変化の中で課題があることも知り、学生目線で何かできることはないかを考える良いきっかけになった」「大原の魅力をたくさん感じることができ、もっと学んでみたい」などの声が聞かれました。
自らの体験や実感を通じて、なぜ今の地域の姿があるのかを考え、問題意識を育みながら、地域のあり方を洞察してほしいと思います。
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