【経営学部】スタートアップの魅力、起業を志す学生へ向けて
2024.07.29
経営学部の専門教育科目「経営戦略論(企業戦略)」(担当:柴野 良美准教授)では、企業経営について、実際の企業事例に照らして学ぶ講義が行われます。今回は、フェムトパートナーズ株式会社の磯崎 哲也氏をゲストスピーカーとして迎え、スタートアップ企業を対象としたベンチャーキャピタルの運営や、経営コンサルタントとして企業の課題解決の支援・起業家の支援などをしたご経験から、実際の企業がどのような戦略で成長していくのかについてご講義されました。その様子を取材しました。
(学生ライター 経営学部4年次 栗山 愛菜)
次に、「報酬をアドバイスを提供する人から受け取るのではなく逆に、投資という資金提供を通じて、共に仕事をしたい人と仕事をできるのがVCという仕事」と、仕事の本質的なおもしろさに気づいた瞬間について語り、スタートアップやファンドとはどのようなことなのかについて、説明をされました。スタートアップに対しては、「エクイティ・ファイナンスが向いている」とし、その理由は、エクイティ・ファイナンスとは、自社が株式を発行することにより資金調達をする手法で、出資者の責任が有限で、成功した場合の利益が大きいので、リスクがある事業でも出資しやすい特徴があるためと説明しました。 磯崎氏は「積極的に先行投資をするように」とアドバイスをし、黒字化にこだわらず、イノベーションの推進に向けて後押しをされるそうです。
また、株式を買う権利(ストックオプション)を付与することが、優秀な従業員を採用し会社を大きくするうえで重要であると話されました。会社の企業価値が大きくなればなるほど付与された人が得る資産も大きくなるため、会社全体のベクトルが企業価値向上に向かい、経営者や投資家など会社に関わる人全員の資産増加に直結すると説明されました。これまでの海外と日本ではスタートアップや投資のあり方に大きな差がありましたが、それでも日本のスタートアップの生態系は大きく変化し改善されており、日本のこの10年は「道路の舗装」だった、と表現しました。これは、運送業を行うには道路を作らないといけないように、スタートアップに投資をするための法律や税制等のインフラを作らないといけなかったということです。この地ならしに苦労したものの、日本のVCのパフォーマンスは世界的に見ても良好であり、このような環境の変化は大学生にとっても起業に挑戦しやすい環境へと変化していると力強く話されました。
起業を夢見る大学生へ向けて、磯崎氏は「スタートアップの最重要戦略は企業価値を高めること」と語ります。ここでいう「企業価値」とは、「失敗できる力」のことであり、成功の「確率」ではなく「期待値」(確率×企業価値)の最大化が非常に重要だと解説しました。失敗を恐れず挑戦する方が、思い描く未来が鮮明となり企業価値は高くなり、多くの人々を説得することができます。磯崎氏は、エクイティ・ファイナンスとは、未来の成功(企業価値)を投資家に想像してもらい、今の投資に繋げる、いわば「タイムマシン」であると表現されました。
今回の取材で、株式や起業について、以前より理解を深めることができたと感じました。また、ベンチャーキャピタルという仕事があることを初めて知り、その面白さややりがいの部分がしっかり伝わり、資金面だけでなく経営戦略の面も支援しているという点に非常に魅力を感じました。実際の企業事例から学ぶことで、具体的なイメージができ、とても面白い授業でした。