【理学部】物理科学科 齊藤 准教授が国際共同研究で不連続シェアシックニングと粒子拡散に関する共著論文を発表しました
2023.10.05
研究成果
理学部 物理科学科 齊藤 准教授はケース・ウェスタン・リザーブ大学(米国)のSingh助教と国際共同研究を行い、摩擦のある粒子系に見られる不連続シェアシックニングと粒子の拡散の関係を調べました。不連続シェアシックニングは粘性率の履歴効果が特徴ですが、粒子の拡散係数も同様に履歴を示すことを発見し、せん断下における粒子の集団運動が系の粘性率と拡散係数に決定的な役割を果たすことを明らかにしました。この研究成果は学術誌Soft Matterの論文として掲載されました。
掲載論文
著者:Abhinendra Singh and Kuniyasu Saitoh
題目:Scaling relationships between viscosity and diffusivity in shear-thickening suspensions
掲載誌:Soft Matter 19, 6631 (2023)
DOI:10.1039/D3SM00510K
URL:https://doi.org/10.1039/D3SM00510K
研究概要
原子や分子に比べてはるかに大きな粒子は身の周りにたくさん存在します。例として、泡やエマルジョン、粉体などが挙げられます。これらの大きな粒子と粒子の間には摩擦力が働くことが多く、この様な粒子をたくさん集めたときの物理現象は摩擦力の影響を多分に受けることになります。
不連続シェアシックニングはその典型例であり、素早いせん断変形に対して予想以上の抵抗力(粘性率)が生み出される現象です。非常に特異な現象である不連続シェアシックニングを有効利用しようとする研究もあり、防弾チョッキへの応用が有名です。
ところで、不連続シェアシックニングは粒子間に働く摩擦力が重要であることは解っていますが、強い粘性率が生み出されるメカニズムや粒子のミクロなダイナミクスについては未解明な部分が多く残されています。そこで、本研究では分子動力学法による数値計算によって不連続シェアシックニングを再現し、粒子系のせん断変形に対する粘性率と粒子拡散の関係について調べました。
その結果、不連続シェアシックニングが観測される際、粘性率と同様、粒子の拡散係数にも履歴効果が現れることが解り、摩擦力によって生じる粒子集団のクラスターが粘性率と拡散係数の両方にとって重要であることを明らかにしました。本研究成果は学術誌Soft Matterの論文として掲載されると同時に、同学術誌の裏表紙に選出されました(図)。
不連続シェアシックニングはその典型例であり、素早いせん断変形に対して予想以上の抵抗力(粘性率)が生み出される現象です。非常に特異な現象である不連続シェアシックニングを有効利用しようとする研究もあり、防弾チョッキへの応用が有名です。
ところで、不連続シェアシックニングは粒子間に働く摩擦力が重要であることは解っていますが、強い粘性率が生み出されるメカニズムや粒子のミクロなダイナミクスについては未解明な部分が多く残されています。そこで、本研究では分子動力学法による数値計算によって不連続シェアシックニングを再現し、粒子系のせん断変形に対する粘性率と粒子拡散の関係について調べました。
その結果、不連続シェアシックニングが観測される際、粘性率と同様、粒子の拡散係数にも履歴効果が現れることが解り、摩擦力によって生じる粒子集団のクラスターが粘性率と拡散係数の両方にとって重要であることを明らかにしました。本研究成果は学術誌Soft Matterの論文として掲載されると同時に、同学術誌の裏表紙に選出されました(図)。

参考
- 京都産業大学 教員紹介ページ:齊藤 国靖 准教授