【国際関係学部】「国際系公務員特別セミナー」にてJICA職員 落合氏と林氏による講演会が開催されました!

2023.12.27

12月13日(水) 3時限目、国際協力・援助の仕事セミナーとして「国際系公務員特別セミナー」が行われました。JICA職員の落合直之氏とJICA海外協力隊員の林貫太郎氏のお2人をお招きし、「国際協力・国際援助」に関わるようになったきっかけや、現地での活動経験についてお話しいただきました。

(学生ライター 国際関係学部2年次 長岡 佳希)


講演は林氏から落合氏へのインタビュー形式で行われました。林氏は京都産業大学外国語学部国際関係学科の卒業生であり、2021年度JICA海外協力隊としてチュニジアに派遣され、先日帰国されたところです。現在JICAシニア・アドバイザーである落合さんは、フィリピン南部のミンダナオ島に設立されたバンサモロ暫定自治政府の首相シニア・アドバイザーとしても活躍されています。
冒頭に講師の紹介を行うクロス教授(右)と、落合氏(真ん中)、林氏(左)
前半は、落合さんが開発援助に関心を持ったきっかけを話されました。貿易会社の社員としてサモアで勤務されたときに、休暇中に訪問した島でひどく病気に苦しむ少女に出会ったそうです。途上国では万全で行き届いた医療設備が整っていないので、病気の娘に対し母親が念仏を唱えることしかできない様子を目にし、無力感を感じたと話されました。その光景が鮮明で頭から離れなかったために、何か途上国で国際協力・援助に携わりたいと考えていた折に、JICAの中途採用の広告を見つけ、すぐさま応募し見事合格され、働き始めたとのことでした。
開発援助に関心を持ったきっかけを話してくださる落合氏(右)
そして、お二方の途上国での勤務状況と現地住民との関係、そして仕事のやりがいについてお話しいただきました。途上国は政治的、社会的に不安定なことが多いので、国際協力に関わる人たちは、現地のコミュニティレベルの人から政府関係者まで幅広い関わりが必要であるとのことでした。ただ現地では、コミュニティレベルと政府レベルでそれぞれにニーズが異なるため、交渉は時に困難を極めることもあるそうです。また交渉済みとの認識が先方と異なっていたりと、なかなか前進できないジレンマもあるそうです。しかし、「現地の人々との交流は、必要とされるニーズを把握するために不可欠な当事者理解を進め、国際協力への意味や意義を感じることができる。また、日本にとっても有益となる活動をすることにやりがいがある」とお二人から心強いメッセージをいただきました。
国際協力に携わる仕事のやりがいを話してくださる林氏(左)
終盤、学生との質疑応答時に、「学生時代にしておくべきことは何か?」との問いに対し、「現地で文化共有ができるよう日本文化について学んでおくことが大切。そして多様な文化や慣習、言語が行き交う異国へと赴き実際に体験してくることが、国際的な職業に就く上で重要な経験値となる」と回答されました。また「現地で協力活動をしていくにあたって、どういった覚悟や立ち振る舞いを国際職員として有するべきなのか?」について問われた際、「日本を代表し現地へ赴くことは、逆に日本が援助を受ける国や他の支援国家に日本がどれだけできるのか、その力が試される。現地独自の文化を学びながら当事者と同じ目線に立ち役立つことができるかが大切である。」という使命感や責任感の重大性を汲み取ることができました。
学生からの質問の様子
現場での豊富な実践経験をもとにした本講演会は、私たち学生が普段体験することができない開発協力・援助の現場を鮮明に浮かび上がらせ、国際社会に貢献することができる仕事への関心や期待感をより一層高める機会となりました。
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